哲学の女王たち レベッカ・バクストン、リサ・ホワイティング編

レビュー

1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

哲学の女王たち

『哲学の女王たち』

著者
レベッカ・バクストン [編集]/リサ・ホワイティング [編集]/向井和美 [訳]
出版社
晶文社
ジャンル
哲学・宗教・心理学/哲学
ISBN
9784794972644
発売日
2021/05/24
価格
2,200円(税込)

書籍情報:openBD

哲学の女王たち レベッカ・バクストン、リサ・ホワイティング編

[レビュアー] 中島隆博(哲学者・東京大教授)

 ソクラテスの重要な対話者としてのディオティマから、現代のイスラム哲学者であるアジザ・イ・アル=ヒブリまで、総勢20名の「哲学の女王たち」を紹介した本書は、従来の哲学に対する異議申し立ての大きなうねりの中で登場した、貴重な一書である。その中に、ローマ教皇によって殉教者として列聖されたエーディト・シュタインがいる。彼女は、現象学の開祖フッサールの助手として、彼の草稿を初稿として整える、実質的な共著者と呼ぶべき仕事をしていた。また共感を軸にした独自の現象学を展開していた。こうした埋もれた女性哲学者に光を当てる営為はこれからますます重要になってくる。

 日本の哲学者としては、20名からは漏れたが、石黒ひでが巻末のリストに挙げられていた。学生時代にそのライプニッツ論に歯が立たなかったことを思い出す。国際女性哲学者連合に参加し、東アジア女性哲学ネットワークを立ち上げた北川東子(さきこ)は「世界中の女性哲学者たちの連帯が必要である」と生前述べていた。北川さんに本書を是非読んでもらいたかったと思う。向井和美訳。(晶文社、2200円)

読売新聞
2021年8月29日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

  • このエントリーをはてなブックマークに追加