『一日一考 日本の政治』
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[読売新聞記者が選ぶ]『一日一考 日本の政治』『落合博満論』
[レビュアー] 読売新聞
一日一考 日本の政治 原武史著
政治思想史を研究する著者が、政治とは何かを考えるための文章や言葉を一日一つずつ紹介し、解説を加えた。
古今東西の有名な思想家や政治家の文章や言葉は、1人1ページと短いが味わい深い。ただ、無名の人々の言葉も混じるのが、本書のミソ。戦後、連合国軍最高司令官・マッカーサー元帥に手紙を書いた漁民や、村初めての女性議員らがのこした言葉には、時代を超えて訴えかけてくるものがあって興味深い。
2月29日も含めて366人分。日めくりカレンダーのように毎日読み進めても、好きなところを拾い読みしてもよさそうだ。折に触れて開きたい。(河出新書、1089円)(佑)
落合博満論 ねじめ正一著
傑出したプロ野球選手であり、名監督でもあった落合博満について、著者はファンである絵本作家との対談や、アマチュア時代の落合を知る人たちへの地道な取材などを通し、その魅力、すごさを伝えようとしている。感覚ではなく、あえてその理由を言葉で説明しようとする営みだ。現役引退して間もなかった落合と著者との対談の様子は、読み手に強い印象を残す。
落合への思慕に満ちた本書は、監督への再登板を熱望する著者の詩で終わる。選手としてのすごさ、監督としての采配の見事さを、こう絶唱する。〈天高く落合野球降ってこい〉。これほど待望される監督がほかにいるだろうか。(集英社新書、902円)(啓)