『パムクの文学講義』
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『パムクの文学講義 直感の作家と自意識の作家』オルハン・パムク著、山崎暁子訳
[レビュアー] 産経新聞社
『わたしの名は赤』などで知られ、2006年にノーベル文学賞を受けた現代トルコを代表する作家が米ハーバード大で行った連続講義の邦訳版。やわらかな言葉で小説という言語芸術の魅力を伝える。
作者の実体験と想像はどのように混ざり合うのか。登場人物とプロット、作中の時間との興味深い関係。そして小説の深層に埋め込まれた「隠れた中心」とは…。直感と思索の間を揺れ動きながら執筆するという作家は「小説を読むことは自分以外の誰かの言葉を通してイメージを視覚化すること」と語る。実作者ならではの視点が光る創作論であり、秀逸な読書論でもある。(岩波書店・2420円)