雨宮処凛『「女子」という呪い』を福井里佳が読む「女性たちの叫びの代弁者」

レビュー

1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「女子」という呪い

『「女子」という呪い』

著者
雨宮 処凛 [著]
出版社
集英社
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784087443035
発売日
2021/09/17
価格
704円(税込)

書籍情報:openBD

雨宮処凛『「女子」という呪い』を福井里佳が読む「女性たちの叫びの代弁者」

[レビュアー] 福井里佳(Unixbloom 代表/ Support for Woman's Happiness 理事)

女性たちの叫びの代弁者

 本書には、すべての女性たちの叫びが書かれている。この日本で生きる女性ならば、必ず一度は経験した思いを、著者は見事に代弁してくれている。
 一億総活躍社会の中で女性たちは、「仕事、結婚、家事、出産、育児、介護」をこなし、かつ「女子力」も併せ持たなければならなくなった。そういった女性を取り巻くこの環境を著者は「呪い」と表現している。社会でも家庭でも女性たちは自分を犠牲にして常に何かの役割を全うする義務を背負わされる。
 ジェンダー・ギャップ指数が百二十位と不名誉な評価となった日本では、女性が感じる「ガラスの天井」は分厚く、打ち破るのが難しい。私は国内外で女性支援に携わっているが、日本の女性の貧困問題は年々深刻になってきている。女性の非正規雇用の割合は高く、高齢単身女性世帯や母子世帯の貧困率が高いのが日本の特徴だ。これは「呪い」によるところが大きい。なぜか。それはこの呪いがこの国独自の文化体系に起因しているからだ。
 オランダの社会心理学者ヘールト・ホフステード博士は各国の文化の違いを数値化した。その指標の中で日本がもっとも高い数値だったのが「男性性」だったのだ。日本は圧倒的な男性性優位の文化を形成している国なのである。男性性の強い国では、成功、競争、昇給、仕事が何よりも重んじられ、競争に勝ち続けなければならない。だからこそ、男たちは女に癒しとサポートを求める。この日本社会は、男たちをケアするシステムを全国津々浦々まで張り巡らせている。
 この呪いから解放されるには、すべての人が女と男の固定された価値観から解放されることだ。そういった意味で、本書に書かれている「必殺! フェミ返し」は性別による価値観の非対称性を明確にし、新鮮な気付きに繫つながる。自分を縛る概念、価値観から、まずは自分が解放されること。それが呪いを解くひとつのカギになるのかもしれない。

福井里佳
ふくい・りか●Unixbloom 代表/ Support for Woman’s Happiness 理事

青春と読書
2021年10月号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

集英社

  • このエントリーをはてなブックマークに追加