聖刻 堂場瞬一著

レビュー

5
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聖刻

『聖刻』

著者
堂場 瞬一 [著]
出版社
講談社
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784065240557
発売日
2021/08/25
価格
1,870円(税込)

書籍情報:openBD

聖刻 堂場瞬一著

[レビュアー] 宮部みゆき(作家)

 堂場さんは今年で作家デビュー二十周年。節目の年に驚きのハイペースで新作を発表しており、どの作品を取り上げようかずっと迷っていた。本書に決めた理由は二つだ。一つは、警察小説のジャンルで単発作品だけでなく複数のシリーズものも並行して書き続けている堂場さんにしても、初の女性刑事の物語であること。もう一つは、私が個人的に愛読している某シリーズの登場人物が出てきて、どうやらそちらとリンクする新シリーズの起点になるらしいと思えたことだ。

 大物司会者の息子が元恋人を殺害したと出頭、取り調べでは犯行を自供するが、動機については語ろうとしない。一方、彼の両親と妹はネット上の誹謗(ひぼう)中傷に悩まされており、捜査一課の女性刑事・柿谷晶(かきやあきら)は、それらの見えない悪意と戦いながら事件の背景を探っていくことになるのだが、事態は容赦なく最悪の方向に転がってしまい――。

「警視庁には四万人以上の職員がいるけど、全員にそれなりのドラマがある」

 新ヒロイン晶のドラマは、実は本書のタイトルで既に暗示されていると、ラストでわかる。お楽しみに。(講談社、1870円)

読売新聞
2021年9月26日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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