『孤独は社会問題』多賀幹子著(光文社新書)

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孤独は社会問題

『孤独は社会問題』

著者
多賀幹子 [著]
出版社
光文社
ジャンル
社会科学/社会
ISBN
9784334045524
発売日
2021/07/14
価格
946円(税込)

書籍情報:openBD

『孤独は社会問題』多賀幹子著(光文社新書)

[レビュアー] 梅内美華子(歌人)

 副題は「孤独対策先進国イギリスの取り組み」。イギリスに世界初の「孤独担当大臣」が創設されたのは2018年1月。孤独は社会的接触や支援がないと健康に悪影響を及ぼすという。天寿を全うできない割合が上がり、若者はソーシャルメディアへの依存度が高くなる。働く意欲を失い生産性の低下で経済的損失も少なくない。孤独の予防や軽減を政策としたことは世界からも注目された。

 著者はイギリス在住経験もあるジャーナリスト。チャリティー、ボランティアの意識を育てている風土、弱者のための社会インフラが進んでいる町を紹介する。日曜大工や図書館での朗読など交流の場、コーヒーショップの「おしゃべりテーブル」など隣人や多世代をつなげるアイデアが民間から生まれている。そして慈善団体のパトロン(支援者)としての英王室の存在と精神的支えの大きさ。

 日本政府が「孤独・孤立対策室」を設置したのは今年になってからだ。ひきこもりや孤独死、そしてコロナ禍と孤独問題は深刻化し対策は急務。本書は人類共通の心と弱者を切り捨てない社会のあり方を考えさせる。

読売新聞
2021年10月8日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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