仕事で疲れた脳をリフレッシュする「すぐ家事」活用術

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家事こそ、最強のビジネストレーニングである

『家事こそ、最強のビジネストレーニングである』

著者
堀 宏史 [著]
出版社
フォレスト出版
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784866801469
発売日
2021/10/08
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

仕事で疲れた脳をリフレッシュする「すぐ家事」活用術

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

最も成功したビジネスマンの一人でもあるビル・ゲイツが、毎日皿洗いをしているといわれていることはご存知ですか?

もちろん、ビル・ゲイツが誰かに皿洗いをやってもらうことは、そんなに難しいことではないはずです。

それなのになぜ、今でも自らすすんで自分や家族の食器を洗っているのでしょうか?

それは、皿を洗うことによって、日頃の「仕事脳」から離れて、脳をリフレッシュさせているからです。

家事こそ、最強のビジネストレーニングである』(堀 宏史 著、フォレスト出版)の冒頭には、こう書かれています。

つまり、なにも考えずに食器をひたすら洗う行為が、脳をリラックスさせるということ。さまざまなプレッシャーのなかで重要な意思判断を求められるビジネスエリートだからこそ、皿洗いという「なにも考えない時間」を持つことが大切だというのです。

そればかりか、日ごろの仕事のタスクやさまざまな悩みごとから解放されることにより、新たな「思いつき」「ひらめき」が得られる効果もあるといわれているのだとか。

積極的に体を動かして疲労回復を高めることを「アクティブレスト」といいますが、いわば家事は脳のアクティブレストだというわけです。

マラソンなどで長時間走り続けると、気分が高揚する「ランナーズハイ」という状態になります。同じように、家事をすると、作業に集中して気持ちのいい状態である「家事ハイ」の状態に入ることができるそう。

つまりはその状態こそ、仕事のモードを一気にリラックスモードに変えてくれる瞬間だというのです。

第2部「家事がやりたくなる『ビジ家事』理論」内の「【ビジ家事理論――基本編】『すぐ家事』理論」のなかから、基本的な考え方を抜き出してみましょう。

なにもやりたくない…そんなときは「ビジ家事」だ

仕事で疲れていて家事をする気にならない。ご飯を食べたあとにお皿を洗うのがめんどくさい。そんなことを思っているうちに家事がどんどんたまっていき、最終的にどうしようもなくなったら、そこでやっと家事に取りかかるーー。

そんなことが積み重なれば、本当に家事が嫌になったとしても無理はありません。したがって、さらに家事から遠ざかっていくことになるかもしれません。

しかも、そんな“やりたくないモード”に入り込んでしまうと、抜け出すのは難しいものです。

では、そんな日常をどのように変えていけばいいのでしょうか?

あなたが今やるべきことは、「何も考えずに」「すぐに」家事に取りかかることです。

(中略)「これはあとで片付けよう」「あれをやったあとに取りかかろう」といったように考えるのではなく、まずその場で手を動かしてしまうのです。

一度行動に移してしまえば、誰でも意外にその作業を最後まで続けられるものです。(78ページより)

だからこそ、「いま」やるべきだということ。(78ページより)

考えるべからず。自分はロボットだと思い込む

ここでいちばん大事なのは、「なにも考えない」こと。自分を「自動化」することで、自分の意思の力を使わず行動に移すわけです。

自分が機械になったと思って、なにも考えずに無心で目の前のことを片づけていく。考えるひと呼吸を置かず、瞬間的に行動に移す。そんな間合いが重要だという考え方。

いったん自分がスタートしたら、「最初はこれを片付けて、次はこれをやるぞ、そして、これはどうしようかな?」と作業の段取りをつぶやいてみてください。

ぶつぶつと段取りをつぶやきながら、ひたすら作業に集中することで、自分が機械になったように無心で作業をこなせるようになります(まわりからみるとかなり危ない人に思われるので、周囲に注意しましょう 笑)。(79ページより)

そもそも人間は、「やる気」が出てから行動を始めるのではなく、「行動を始める」と、やる気が出てくるもの。著者によれば、それは科学的にも証明されているのだそうです。

なにも考えずにすぐ行動に移せば、その行動事態がやる気を呼び覚まし、結果としてその行動を続けやすくなるわけです。

人は、行動を起こす前にはいろいろと考えてしまいがちです。しかし、いったん動きはじめればさほどの抵抗を感じないものでもあります。

それどころか、むしろ終わったあとには爽快感が残ったりもします。どうやら、そこがポイントであるようです。(78ページより)

鍛えるべきは、家事の「反射神経」

だとすれば気になるのは、どうやったら家事を「すぐやれる」ようになるのか。著者はこの点について、秘訣は「反射神経」にあると説いています。

たとえば、活躍しているビジネスパーソンの中には「メールのレスが早い」人がいます。

以前、著者がそういう人に対して「なぜそんなにメールの返信が早いのですか?」と聞いてみたところ、「あとで返信しようと思っていると、膨大なメールやいろんな会議などがすぐに入ってきて返信できないまま忘れてしまうから、見たメールはその場で返信する」という答えが返ってきたのだそうです。

人間の記憶力には限界がありますから、目の前にあることをどんどん処理していくというのは、たしかに理にかなった話。なお興味深いのは、同じことが家事にも当てはまるという著者の意見です。

「ここを片付けよう」「これを元の場所に戻しておこう」「この買い物をしなきゃ」と思っていても、「あとでいいかな」と考えて他のことに気が向いてしまうと、あっという間にそのことを忘れてしまっています。

何か気がついたときには、何も考えずにすぐ反応する「家事の反射神経」を鍛えていきましょう。(81ページより)

それは、ビジネススキルにおいても重要なエッセンス。そんな考え方には、大きな説得力があるのではないでしょうか?(80ページより)

広告の仕事を通じ、世界中のビジネスエリートたちと交流してきたという著者は、彼らに共通するのは「家事は、やらされる」ものではなく、積極的にやることで、自らの仕事力を磨いている」ということだと指摘しています。

だからこそ、そんな家事のメリットを享受してほしいという思いが本書には込められているのだそうです。本書を通じ、リフレッシュの手段としての家事に注目してみるべきかもしれません。

Source: フォレスト出版

メディアジーン lifehacker
2021年10月22日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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