フランシス・ベーコンが語る、5つの“仕事の極意”とは

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フランシス・ベーコンが語る、5つの“仕事の極意”とは

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

超訳 ベーコン 未来をひらく言葉 エッセンシャル版』(佐藤けんいち 編訳、 ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、「イギリス経験主義の祖」として知られるイギリスの哲学者、政治家、フランシス・ベーコンが残した数々の名言をまとめたもの。

以前ご紹介した『超訳 カーネギー 道は開けるエッセンシャル版』などに続くシリーズ最新作です。

議論を省略してはいけない

「仕事が速い人」と思われたくて、短時間で手際よく会議が終わったかのように見せかける人がいます。

しかしベーコンによれば、要点を押さえて議論を終わらせることと、議論を省略してしまうことはまったくの別もの。

私の知り合いに、ある賢い人がいるのだが、急いで結論を出そうとする人たちを見ると、口癖のようにこう言っていたものだ。

「結論を早く出すには、急がせないこと!」 ただし、ほんとうに迅速であることは価値あることだ。仕事を図る尺度は時間であり、品物がカネで表示されるのとおなじだからだ。迅速さを欠いていては、割高なものとなる。

『エッセイズ』(22ページより)

成功事例にも失敗事例にも学べる

職務の遂行にあたっては、自分の目の前に最高の実例をおくことが大切。なぜなら、すぐれた実例を模倣することは、教訓をかたまりごと手に入れるようなものだから。

しばらくたったら、自分自身が作成した実例を目の前におくこと。自分が最初にベストをつくしていたかどうか、自分自身をきびしく点検してみることだ。

かつて同じ地位にいた人たちが担当したが、うまく処理されなかった実例も無視してはならない。

ただし、それは過去の行為を責め立てて、自分を引き立たせるのが目的ではない。なにを避けるべきか、自分自身に指示するためだ。

したがって、得意げにならず、前の時代や人物を非難したりもせずに改善を行うべき。

すぐれた実例に従うだけでなく、自分でもつくりだすことを心がけることが重要だというわけです。『エッセイズ』(25ページより)

たくさん質問して引き出す

多く質問する人は、多く学び、しかも人を多く満足させる。相手の能力にあわせて質問するときは、とくにそうだ。

というのは、相手に答えるきっかけを与えるだけでなく、よろこんで話してもらえるだろうし、ひいては自分がたえず知識を集めることにつながるからだ。

ただし、相手を困らせるような質問はしないこと。また、他の人たちにも話す機会を与えることも重要。『エッセイズ』(25ページより)

発言を途中でさえぎってはいけない

議事進行においては、最初の報告は、よく聞くべきである。 また、司会者は発言の途中でさえぎるよりも、はじめに指示を与えておいたほうがいい。

というのも、話の順番を狂わされると、話が前に進んだり後戻りしたりして、話そうとしていたことを思い出せなくなってしまい、結果として話がもたもたして退屈なものになってしまうからだ。

したがって、さえぎることなく、報告者にはそのまま話をさせたほうがいいということ。『エッセイズ』(25ページより)

抜け目のない人物との交渉

抜け目のない人物と交渉する際には、つねに相手の目的がどこにあるのか考えながら、相手の発言がなにを意味しているのか解釈しなければならない。

また、言質をとられないように相手に対してほとんどなにも言わず、相手の虚を突くために思いもしないことを話すのがよい。

なお困難な交渉ごとでは、種まきと同時に刈り入れを期待するべからず。準備に時間をかけたうえで、だんだんと熟していくのを待つべきだそうです。『エッセイズ』(38ページより)

編集にあたっては、「政治家ベーコン」による人生訓と処世訓を中心に、「哲学者ベーコン」による学問論をあわせて全部で162編を選出した。

あまりにも簡潔でわかりにくい場合はことばを補い、長い文章の場合は編集を加えて短縮してある。(「はじめに なぜいまフランシス・ベーコンなのか?」より)

だからこそ、とても読みやすくなっているところが魅力。どこからでも読めることもあり、ベーコンを知るには格好な一冊だといえそうです。

Source: ディスカヴァー・トゥエンティワン

メディアジーン lifehacker
2021年10月29日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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