『鳥獣戯画/我が人生最悪の時』
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【気になる!】文庫『鳥獣戯画/我が人生最悪の時』
[レビュアー] 産経新聞社
長く勤めてきた会社を辞めた小説家の「私」はその記念すべき1日目に、自分が出演したテレビ番組を見たという美しい女優に話しかけられ、なぜか京都を旅することに。そこから話は迂回(うかい)し、女優の苦い結婚生活や鎌倉時代の僧・明恵(みょうえ)上人の生涯、そして10代の「私」自身の友情や恋もたどり直す…。
人物や時空を超越し多彩な挿話を連ねるそんな「鳥獣戯画」と、単行本未収録作の「我が人生最悪の時」を収めた一冊。「私」という一人称に立脚しつつ、狭苦しい自我を突き破っていく自由奔放な語り口が読んでいて心地よい。(磯﨑憲一郎著、講談社文芸文庫・1980円)