イルカの視覚能力や認知機能の解明に取り組む学者自身の研究史。著者は高校時代にイルカとヒトが会話をする映画の場面に触発され、研究職の道に進んだ。
しかし、お金にならない研究は人気がない。指導教官はおらず独学に。研究職としての就職口は少なく、失業も経験。水族館のイルカと長年にわたって実験を行い、ついに「ツカサ」と自分の名前を呼ばせる。
本書は研究する喜びを平易な文章で伝えてくれる。子供の理科嫌いが問題になっているが、目玉を集めるエピソードや水族館での実験は興味を引きそうだ。(村山司著、新潮新書・858円)
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2021年10月31日 掲載
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