【児童書】『ありがとうのうたをうたえば』 歌にはパワーがある

レビュー

1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ありがとうのうたをうたえば

『ありがとうのうたをうたえば』

著者
マイケル・モーパーゴ [著]/エミリー・グラヴェット [イラスト]/杉田 七重 [訳]
出版社
小学館
ジャンル
芸術・生活/絵画・彫刻
ISBN
9784097251224
発売日
2021/10/06
価格
1,650円(税込)

書籍情報:openBD

【児童書】『ありがとうのうたをうたえば』 歌にはパワーがある

[レビュアー] 横山由紀子

新型コロナウイルス禍で世の中が混乱し始めた昨年3月、作者の自宅庭にやってきた一羽のクロウタドリ。まるで、歌を歌うかのような見事なさえずりを耳にした作者は、「巣ごもりで寂しい思いをしている子供らに勇気を与えたい」とこの物語を紡いだという。

主役のクロウタドリがまず、キツネに美しい歌を聞かせる。キツネは目を覚まし、森のシカにその歌を伝えるとヒツジやネズミ、マス、クジラへと、あらゆる生き物が歌い出す。歌の輪は、病院や避難所、刑務所に至るまで人間の世界にも広がっていく。口を大きく開いて合唱するみなの表情は、明るく輝いている。

そういえば、昔見たミュージカル映画「サウンド・オブ・ミュージック」で流れていた心躍る歌声を思い出す。モデルとなったトラップファミリー合唱団も、歌で激動期を生きる人々を慰め、笑顔にしたのだった。

仲間たちと心置きなく歌ったり、笑い合ったりすることの喜び。歌にはパワーがあることを改めて感じさせる。(マイケル・モーパーゴ作エミリー・グラヴェット絵、杉田七重訳/小学館・1650円)

横山由紀子

産経新聞
2021年11月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

  • このエントリーをはてなブックマークに追加