『 THE LONELY CENTURY 』ノリーナ・ハーツ著(ダイヤモンド社)

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THE LONELY CENTURY なぜ私たちは「孤独」なのか

『THE LONELY CENTURY なぜ私たちは「孤独」なのか』

著者
ノリーナ・ハーツ [著]/藤原 朝子 [訳]
出版社
ダイヤモンド社
ジャンル
社会科学/社会
ISBN
9784478108635
発売日
2021/07/15
価格
2,420円(税込)

書籍情報:openBD

『 THE LONELY CENTURY 』ノリーナ・ハーツ著(ダイヤモンド社)

[レビュアー] 小川さやか(文化人類学者・立命館大教授)

 孤独とは何か。孤独は親密な人間関係が欠如した状態だけではない。孤独は、一般市民や雇用主、地域社会、政府の支援やケアがないという感覚や、政治的・経済的に排除されているという感覚など、個人の存続に関わる多義的な状態である。著者はそう定義したうえで、孤独の根は冷酷な新自由主義的イデオロギーにあることを主張する。そして新自由主義に密接に関連する現代のライフスタイルや仕事や人間関係の性質、環境、新しいテクノロジーに伴って孤独がいかに深刻化してきたかを開示する。

 本書を読んで気づかされるのは、孤独を深化させる契機の一つ一つは、隣り合う同僚とメールで連絡するなど、人々にとって日常的で自然な行為であることだ。それにギグエコノミーや愛護ロボットなどコンタクトレスを可能にする変化が拍車をかける。

 本書は、孤独を個人の心の持ちようや漠とした社会的病や経済変化から、生活レベルの事象へと転換することで、孤独という社会課題には立ち向かう方法があることも提示する。孤独を解消する希望はそこかしこにあるのだ。藤原朝子訳。

読売新聞
2021年11月12日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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