最大の成果を生み出すピークパフォーマンス「食事と睡眠のコツ」

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ピークパフォーマンス

『ピークパフォーマンス』

著者
野上 麻理 [著]
出版社
WAVE出版
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784866213743
発売日
2021/10/08
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

最大の成果を生み出すピークパフォーマンス「食事と睡眠のコツ」

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

ピークパフォーマンス』(野上麻理 著、WAVE出版)は、“ビジネスパーソンの生産性をいかにして上げるか”について、自身がライフワークとして取り組んできた問題意識とノウハウをまとめたものだそう。

著者は、P&G管理職〜マックスファクター社長〜P&G副社長〜アストラゼネカ役員〜武田コンシューマーヘルスケア社長〜アリナミン製薬副会長と重職をこなしてきた人物です。

当初は「結婚したら仕事を辞めて主婦になるだろうと思っていた」ものの、30歳になったときに聞いた先輩のことばから「仕事も家庭を両立させることは可能なんだ」と実感し、両立を諦めていた気持ちが吹っ切れたのだとか。

とはいえ、当初はそれをどうやったら実現できるのかがわからなかったといいます。そんななかで大きな契機となったのは、アスリートのトレーニング法をビジネスパーソンに応用した「コーポレートアスリート」というトレーニングを知ったこと。

そのメソッドを自社に導入し、自らがトレーナーとなって教育した結果、多くの社員の生産性が急速に上がったというのです。そして、その根幹をなすのが「ピークパフォーマンス」。

タイトルにある「ピークパフォーマンス」は、アスリートの間ではよく知られている言葉で、最大のパフォーマンスを長期的、持続的に発揮すること

ビジネスのプロにも、このトレーニングの思想が求められているのです。

そこで本書では、

・自分のエネルギーをマネジメントして、成果を最大にする

・そのために人生の目的意識を明確にして、仕事と私生活に向き合う

ということを、普遍的な価値があるものとしています。 (「はじめに」より)

きょうは第1章「強い身体は食と運動の習慣から生まれる」に焦点を当て、食生活と睡眠についての考え方をクロースアップしてみたいと思います。

身体づくりはまず食生活から

生物としての自分を管理して、よいエネルギー(この場合は食べ物、飲み物)を摂取し、運動をして、睡眠をとって、健康であることは、パフォーマンスのもっとも効果的な管理方法であることを、ビジネスのプロは、もっと意識してもいいのではないでしょうか。(53ページより)

著者はこう主張していますが、たしかに人間は、病気になってみないと自分の体調が悪化していることなどに気づかないものでもあります。

だからといって健康オタクになる必要もサプリに頼る必要もないものの、基本的なことはきちんと押さえておいたほうがいいことは間違いありません。

具体的にいえばそれは、「赤、黄、緑の野菜を食べる」「腹八分目にする」「食物繊維をたくさんとる」「水をたくさん飲む」といったシンプルなこと。(53ページより)

朝食をとり、脳が冴えるものを食べる

食べて摂取したエネルギーを、仕事のパフォーマンス向上のために活用しようというなら、腹八分目の状態を一日中、できるだけ持続させることが大切だと著者は主張しています。

頭脳労働は、思っている以上にカロリーやエネルギーを消費するもの。「朝はコーヒーだけで十分だし、朝ごはんは食べない」という方も少なくないでしょうが、ちゃんと朝、昼、夜に食事することはやはり大切。

だいいち一食抜くことは、その後の食事で食べすぎてしまうということにもつながってしまいがちでもあります。

食べすぎると胃に血液が多く行きすぎて、頭がボーッとしてしまいますが、そんな状態になることを防ぐためにも、毎日3食とるべきなのです。

「コーポレートアスリート」のトレーニングでも、まずトレーニング後に取り組むべき課題として、 ・朝食をきちんととる

・一日中健康的な(GI=食後血糖値の低い)ものを食べて水分を取る

といったことを選ぶ人も多くいます。

科学的な根拠として、脳の活動エネルギーは主にブドウ糖の働きであり、ブドウ糖のレベルを一定に保つことが、脳の集中力を高めることはわかっているので、われわれビジネスのプロも朝ごはんをしっかり食べるべきですよね。(56〜57ページより)

最近は低GI値の食品が多く販売されています。それらを食べることによって一日の血糖値の上がり下がりを一定にコントロールし、脳の働きを長時間最高の状態に保つことが可能だといいます。(55ページより)

早寝早起きは生活のリズムをつくる

著者の生活習慣は、子どもが生まれてから大きく変わったのだそうです。

子どもと同じ時間に寝る(寝かしつけているうちに眠ってしまう)ようになった結果、自動的に9時半就寝、4時起床というリズムができあがったというのです。

個人差はありますが、こと睡眠に関しては、寝だめしたり、睡眠時間を削るといったことが、時間管理にはつながっても、エネルギーを落としていることのほうが多いようです。

長く寝たからといって、眠気は取れてもエネルギーは上がっていないというのがその根拠です。(72ページより)

「寝だめすれば睡眠時間は補える」というようなものではないのだとか。睡眠の質が重要なのであり、だからこそ著者も朝方の習慣にすることを勧めています。

人には朝型と夜型がおり、朝が苦手な夜型の人のなかには「自分は低血圧だから起きられない」と訴える方も見受けられます。しかし最高血圧が100を超えない低血圧の著者でも、朝方に簡単に移行することができたそうです。

とくに小さな子どもがいて、家族との時間をきっちり取りたいと考えるビジネスパーソンにとって、朝型の習慣は大きな意味を持つようです。

なぜなら、子どもに本を読んであげて、一緒に寝てしまうような生活をすることで、人生の意義が増えていくから。そんな生活に移行すると、人生の生産性は少なくとも3割は増すと著者は感想を述べています。(71ページより)

本書で紹介されているメソッドを実践すれば、必ず最大のパフォーマンスを上げられるようになると著者は断言しています。

三日坊主は当たり前で、失敗したらまたはじめればいいのだとも。自身を効率よくマネジメントするために、参考にしてみてはいかがでしょうか?

Source: WAVE出版

メディアジーン lifehacker
2021年11月11日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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