【気になる!】コミック 『父の暦 谷口ジローコレクション』
[レビュアー] 産経新聞社
東京で会社員生活を送る陽一の元に、ある日鳥取に住む父の訃報が届く。父との間に溝を感じ、長年帰郷しておらず、つまらない人間だと思っていた父の意外な姿を通夜の場で知る。
昭和27年の鳥取大火、両親の離婚の真相…。過去の話を親族から聞くうちに、陽一の心境に変化が生じていく。帰らぬ息子を思う父と、生前の父に会わなかったことを悔いる息子。両者の心理描写が胸に迫る。
4年前に死去した著者の作品を、小学館と双葉社が協力して刊行する選集の第1弾。雑誌掲載時と同じ大判B5判で製本され、精緻な絵を隅々まで味わえる。(谷口ジロー著、小学館・3000円)