無理せず自発的に働きたい人に送る「タイムマネジメント」のコツ

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自分をサクサク動かすセルフマネジメント

『自分をサクサク動かすセルフマネジメント』

著者
川嵜昌子 [著]
出版社
総合科学出版
ISBN
9784881818824
発売日
2021/10/14
価格
1,540円(税込)

無理せず自発的に働きたい人に送る「タイムマネジメント」のコツ

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

新型コロナの影響で、在宅ワークが一般化しました。しかし在宅の場合はオフィスワーク以上に、自分で自分を管理する“セルフマネジメント”能力が求められることになるでしょう。しかし現実的に、自分を動かすのはなかなか難しいものでもあります。

この点について、マネジメントコンサルタントである『自分をサクサク動かすセルフマネジメント』(川嵜昌子 著、総合科学出版)の著者も次のように述べています。

セルフマネジメントのイメージとしては、自分を律する、怠け心に打ち克つ、楽な方向に流されない、楽しいことを我慢する、努力する。とくに、先のことを考えて地道にコツコツ頑張るという感じではないでしょうか。(「はじめに」より)

とはいえセルフマネジメントは、イソップ寓話の「アリとキリギリス」に出てくるアリのようになることを勧めているわけではないのだといいます。アリ的な行動は必要だけれども、楽しい気持ちを持っているほうが、セルフマネジメントではうまくいくというのです。

そこで本書の前半では、“基本的には怠け者である人間が、どうすれば動くのか”についての対処策が明らかにされています。

具体的には、「セルフマネジメントのやり方」「タスクへの活用法」「タイムマネジメント法」などなど。

きょうはそのなかから、Part3「タイムマネジメントのコツ」に焦点を当ててみたいと思います。

タイムマネジメントってなんだ?

「タイムマネジメント」ということばは職場や仕事において、「仕事の生産性を上げるため、仕事を効率的に行うよう、時間の使い方を管理する」という意味で使われます。

つまり経営的な視点からすれば、働いた時間で賃金(時給、日給、月給)を払うのなら、同じ時間内に質を落とさず、より多くの仕事をしてもらえたほうがよいということになるのです。

ところで著者によれば、毎日の仕事を大きく4つに分けた場合、次のようになるそうです(「……」以降の部分は一般的な事例であり、なにをあてはめるかは各人によります)。

1. やらなければいけないこと……仕事、人との約束、睡眠、食事、家事、雑用など

2. やったほうがよいこと……将来への準備、自己投資、読書、運動、休養など

3. やりたいこと……親しい人と過ごす、趣味の活動など

4. やらなくてもよいこと……だらだら過ごす、勘違いによるミス・やり直し、まとめてやれたことをバラバラにやる、何度も忘れて聞く、不要な探し物など

(81ページより)

いうまでもなく、タイムマネジメントの目的は「1. やらなければいけないこと」を効率的にやり、「2. やったほうがよいこと」「3. やりたいこと」が充分にできるようにすること。

それは、「4. やらなくてもよいこと」に時間がとられ、他の時間が少なくなるのを防ぐことだともいえそうです。(80ページより)

始める前の設計が、出来上がりを左右する

「やらなければいけないこと」には、やる時間が決まっているものと、決まっていないものがあります。

決まっているものは、会議や打ち合わせ、仕事の始業時刻、乗り物の出発時刻など、「アポイントメント(アポイント、アポ)」と呼ばれるもの。決まっていないものは、たとえば納期までに終わらせればよい仕事などで、こちらは「タスク」(仕事、課題)といわれます。

「アポイントメント」には強制力が働きますが、「タスク」は自分で管理しなければならないため難しいかもしれません。なおタスクを管理することを「タスク管理」といい、それこそがタイムマネジメントの重要点になるのだと著者はいいます。

タスク管理のポイントは、着手する前の次の3つです、

1. 目的を理解する

2. 出来上がりイメージを確認する

3. よりよい手順を考える

始める前の設計が、タスクの出来上がりの速度、質を左右します。

(83ページより)

仕事などの“やるべきこと”には目的があるもの。つまり、その仕事は「誰のため」「なんのため」のものなのか、「どのように活用されるのか」「大きな流れのどの部分か」を把握しておいたほうがよいわけです。

さらに重要なのは、仕事の依頼者、関係者と出来上がりのイメージを共有しておくこと。すでに前任者や他者が同じ仕事をしているのなら、“それを踏襲したほうがよい部分”“変更、改善したほうがよい部分”を確認すると効率的。

なお場合によっては、最初から決定権者に確認する(してもらう)という手段も。そうしないと、仕事がかなり進んだ段階で、強い影響力を持つ人にひっくり返され、ほぼ0からやりなおす「ちゃぶ台返し」に遭い、時間と労力の無駄になることがあるからです。(82ページより)

余裕を持ったスケジュールに

さらに不明点、疑問点については、「これでいいはず」と思わず、最初に(途中でも)そのつど確認するべき。いちいちコミュニケーションをとるのは面倒ですが、あとでやりなおしになったり、お互い妥協しなければならなくなるのであれば、先に確認したほうがいいわけです。そのため、すぐに確認・修正できるように、前倒しで進める必要もありそうです。

計画を立てるときには、タスクを細かく分け(タスクブレイクダウン)、効率的な手順を考えることが重要。“何日の何時から何時までになにをやるのか”を、実際にスケジュールにあてはめてみるわけです。自分の処理能力などを毎回測定し、なるべく正確に見積もることができると、仕事がオンスケジュール(予定どおり)になるそうです。

そして大切なのは、無理な仕事量にしないこと。タイムマネジメントで空き時間がつくれても、そこに仕事をどんどん入れてしまっては元も子もなくなってしまうからです。

無理そうだなと感じたら、依頼者に優先順位を聞いたり、あるいは自分で優先順位を決めて取り組むべきだということです。(86ページより)

なお後半では「心」にスポットが当てられ、「怒り」のマネジメント方や平常心の持ち方なども紹介されています。よりよいセルフマネジメントを実現させるために、参考にしてみてはいかがでしょうか?

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Source: 総合科学出版

メディアジーン lifehacker
2021年11月22日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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