『狐の掟 中国幻想選』
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【気になる!】コミック『狐の掟 中国幻想選』
[レビュアー] 産経新聞社
助けたキツネが絶世の美女の姿で恩返しに来て―。隋王朝(581~618年)を扱った歴史書「隋書」など、中国の古典を原作とした怪奇ファンタジー短編集だ。表題作「狐(きつね)の掟(おきて)」をはじめ、収録作8編の多くは人ならざる者との愛が主題となっている。
人里離れた家で出会った少女に恋をする「異類の娘【虎】」。遊牧民の少年とオオカミとの絆を描いた「アシナ」。一方、愛妻に先立たれた男性が少しの間だけ妻の魂と再会する「趙十四」では人間同士の愛も。
不思議なハッピーエンドもあれば、悲しい結末もある。いずれも余韻を残す。(鮫島圓(えん)著、双葉社・748円)