【気になる!】文庫『食卓のつぶやき』

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

食卓のつぶやき

『食卓のつぶやき』

著者
池波, 正太郎, 1923-1990
出版社
中央公論新社
ISBN
9784122071346
価格
946円(税込)

書籍情報:openBD

【気になる!】文庫『食卓のつぶやき』

[レビュアー] 産経新聞社

「忠臣蔵」の大石内蔵助が討ち入り前に食べた「鴨肉入り生卵かけ温飯」。冬の朝に出た桑名の宿の「蛤入り湯豆腐」。土鍋で煮込み、少量の塩と酒を振って皿に取り、しょうゆを2、3滴落とすだけで口に運ぶ「大根」の滋味…。

東京・下町で過ごした幼少期から株式仲買店での奉公、海軍新兵、劇作家、そして小説家と、それぞれの時代に国内外で堪能した食の数々を味わい深く描く。

食とともにつづられる人情論や社会風刺、文明批評も切れ味鋭い。昨年没後30年の「食エッセーの達人」をしのび、一杯やりながら読みたくなる。(池波正太郎著、中公文庫・946円)

産経新聞
2021年12月6日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク