20世紀後半の日本美術の中心を「間違いなくマンガ」と言い切った。日本美術史上、正当な評価を受けてこなかった商業美術家たちを本流とし、明治以降の美術史を捉え直した本だ。
花鳥画、美人画、戦前の挿絵、戦後のポスターや漫画。北海道では有名な木彫り熊の彫刻家、藤戸竹喜(たけき)も取り上げている。
著者は前衛美術家の赤瀬川原平と「日本美術応援団」を結成し、日本美術の面白さを伝えてきた。本書では、ファインアートと商業美術との区別を時代遅れとばっさり。自分好みの「美」を見つけたくなる。(山下裕二著、NHK出版新書・1210円)
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2021年12月12日 掲載
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