仕事に取りかかる時間を早める「マインドセット」実践法

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「普通」に見えるあの人がなぜすごい成果をあげるのか 17万人のAI分析でわかった新しい成功法則

『「普通」に見えるあの人がなぜすごい成果をあげるのか 17万人のAI分析でわかった新しい成功法則』

著者
越川 慎司 [著]
出版社
KADOKAWA
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784046054593
発売日
2021/12/02
価格
1,650円(税込)

書籍情報:openBD

仕事に取りかかる時間を早める「マインドセット」実践法

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

以前、『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』という書籍をご紹介したことがあります。800社を超えるクライアント企業の「働き方改革」を支援している著者が、各社のトップ人材の行動法則を分析したもの。

きょうご紹介する『「普通」に見えるあの人がなぜすごい成果をあげるのか』(越川慎司 著、KADOKAWA)は、同書に続く最新刊。タイトルからもわかるように、“短い労働時間で確実に成果をあげている社員と、長い労働時間を費やしても成果をあげられない社員の違いはなにか”について考え、「仕事ができる活躍社員」になるための道筋を示したものです。

私が創業したクロスリバーは、2017年の創業時から完全にリモートワーク体制にしていて、全員が週休3日です。そのうえで「複業しなければ入社できない」という働き方実験も実践してきました。

そんな我々よりもユニークな工夫を凝らし、自ら行動実験をしながら成果をあげているビジネスパーソンが、クライアント企業の中には多く存在していたのも事実です。

クロスリバーは、そういう人たちを「活躍社員」としてサンプリングしています。その行動履歴や言動のデータを収集し、専門家と組んでAIで分析しました。中立公正なAIにより、活躍社員の共通点と、他の社員との意外な違いを明らかにすることができました。(「はじめに」より)

そこで判明した活躍社員の行動やポリシーを「一般社員にあてはめて成果が上がるか」を再現実験し、その結果を本書にまとめているわけです。

きょうはそのなかから、第4章「再現できた! 50の最短仕事術」内の7「時短編」に焦点を当ててみたいと思います。

時間を生み出すマインドセット<

p>著者は時短に関し、時間を削減するのではなく「時間を再配置する」ことの重要性を説いています。

変化に対応するには、行動を変えてコンフォートゾーン(快適な領域)から抜け出る必要があります。ただし、新たな行動を実行するには時間が必要。その時間を生み出すために、現在のムダな時間を短縮していくわけです。

労働時間の短縮だけに取り組む企業は、働き方改革を成功させられないもの。仕事が終わらないのに無理して帰れば、思うような成果を残しにくくなり、達成感を得られず、給与も減ることになってしまいます。そのため、自然ともとの働き方に戻ってしまうことになるのです。

20時でオフィスの電気が消えたらしぶしぶ会社を出るものの、仕事は終わっていないとしたら、社外での“隠れ残業”をすることになるでしょう。しかし、そうした状態を続けていくべきでないのは当然の話。そこで、著者は提言をしているのです。

未来に必要なことに時間を費やすために時間を生み出す。

この考え方を理解してから行動実験をしていけば変化は起こります。

働き方改革に取り組む企業は時短を手段と捉えて、未来に必要な挑戦に時間を再配置する考えを社員たちに浸透させるべきです。そうすれば、個々人が自分で考えて動く「自走する組織」になります。(215ページより)

つまり働く個人が行動実験をしていけば、成果を出し続けることができるというわけです。(214ページより)

「締め切り効果」と「宣言効果」で初動を早くする

最短距離の仕事術を実践するうえで重要なのは、仕事に取り掛かる時間を早めること。やらなければならないのに気分が乗らず、取りかかるのが遅くなるというようなことは、誰しも経験したことがあるはず。

しかしムダをなくして成果を出し続けるためには、気分ややる気に頼ることは不可能。著者によると、実際に成果を出し続けている優秀なリーダーも、「自分やチームメンバーのやる気に頼らない」と発言していたそうです。

気分が乗れば作業スピードは速くなるでしょうが、気分が乗ってくるまで待っていてスタートが遅れれば、最終納期が遅れても当然。しかし仕事に取りかかる時間を早くすれば、結果的に期限までに収まるわけです。これは1710人の行動実験でも判明していることだとか。

つまり、優秀なリーダーはやる気に頼らず、やる気の有無にかかわらず行動をする仕組みをつくっているということです。そして、その“行動をする仕組み”が次の2点。

① 途中期限をこまめに設けて「締め切り効果」を活用する

② 周囲に行動と期限を発表して「宣言効果」を活用する

(220ページより)

「締め切り効果」とは、期限を意識することでタスクに集中すること。締め切り日時が明確であれば、本能的に「なんとか死守しよう」というスイッチが入り、仕事に取りかかざるを得ない状況になるわけです。

ちょっとしたプレッシャーがかかるため悩んでいる時間がなくなり、「とにかく取りかかろう」というマインドになるということ。

一方の「宣言効果」は、周囲の人と行動目標やその達成期限を共有することにより、目標が達成しやすくなる効果。他者に宣言することによって「バカにされたくない」という心理が働き、自分自身位プレッシャーをかけることができるというのです。

期限を決めて本能的に仕事をスタートさせようとする「締め切り効果」と、周囲からの信頼とサポートを得やすくする「宣言効果」を活用すれば、初動を早くすることができます。(221ページより)

ちなみに本書で紹介されている行動実験には、すべて期限が設けられているそうです。その実験内容と進捗を社内で広く共有できているのは、「締め切り効果」と「宣言効果」を活用しているからだということです。(219ページより)

本書で明かされているテクニックを、どれかひとつでもいいので実際にやってみてほしいと著者は訴えています。なぜなら、ゼロからスタートするよりも、他人の失敗や成功を理解して始めたほうがムダを省けるから。

変化を生き抜くためには、行動の選択肢を増やしたほうが有利だということで、そういう意味において本書には利用価値がありそうです。

Source: KADOKAWA

メディアジーン lifehacker
2021年12月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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