『100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集』福井県立図書館編著(講談社)
[レビュアー] 仲野徹(生命科学者・大阪大教授)
『100万回死んだねこ』? ちゃう、『100万回生きたねこ』や!とタイトルに鋭くツッコんでほしい。
といってもお笑い系の本ではない。福井県立図書館で実際に問い合わせのあった、題名の覚え違い、うろ覚えなどが90連発、Q&A形式で紹介されている本だ。
『そのへんの石』とか、「フォカッチャの『バカロマン』」、「ねじ曲がったクロマニョンみたいな名前の村上春樹の本ありますか」と尋ねられたら、速攻で正しい本を見つけてあげられそうな気がする。ただ、村上春樹の本の人には、絶対にイメージしてた内容と違いすぎてガッカリさせそうだ。
『ひやけのひと』は、いくら考えてもわからなかったが、答えを見たら納得だ。確かに、かなり無理をすれば、そう読めなくもない。さて何という本でしょう?
「カフカの『ヘンタイ』」では、カフカらしき人が女性用下着をかぶってるなど、イラストもかわいい。ファンは怒るかもしらんけど。
本好きには大笑い間違いなしの1冊だが、司書さん達(たち)の困惑に思いをはせながら、爆笑ではなく忍び笑い程度に留(とど)めておくのが大人の読み方ですわな、きっと。