『デュラララ!!』の作者・成田良悟が語る サメをテーマにした新作小説の世界観

インタビュー

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炬島のパンドラシャーク 上

『炬島のパンドラシャーク 上』

著者
成田, 良悟, 1980-
出版社
KADOKAWA (発売)
ISBN
9784048930949
価格
1,430円(税込)

書籍情報:openBD

サメ映画を小説で再現!? ポップコーン片手に楽しめる娯楽群像劇~成田良悟インタビュー

[文] ステキコンテンツ合同会社

『デュラララ!!』『バッカーノ!』などの大人気シリーズでおなじみの成田良悟さんの最新作!『炬島(ともしびじま)のパンドラシャーク』は、サメをテーマにした娯楽群像劇です。

 本作は「サメ映画の世界をなんとか小説で再現してみたい」という成田さんの欲望から描かれたとのこと。おっしゃる通り、オープニングからぞくぞくする描写が続きます。内容についてや創作について、お話をうかがいました!

ポップコーン片手に楽しめる娯楽群像劇 !!

――『炬島(ともしびじま)のパンドラシャーク』について、これから読む方に向けて内容をお教えください。

 近未来の日本の沿岸に浮かぶ巨大な人工島『龍宮』。

 流星群観測イベントの為に多くの観光客が集まる夜に、島は謎の武装勢力によって襲撃される。だが、彼らの目的であった実験生物――異常な進化を遂げた巨大ザメは、研究者の手によって広大な海に解き放たれる事となった!

 実験の主任である女性科学者。一癖も二癖もある武装犯罪集団。武闘派の市長。巨大企業からの視察員。逃げ惑う島民達。事態に翻弄される一般人の姉弟。解き放たれた狂暴な牙を前に、果たして最後に笑うのは誰なのか――。

 という、B級映画小説とでも言うべき、ポップコーン片手に読んで頂く事を想定した娯楽群像劇となっております。

――”サメ”をテーマに物語を描かれたきっかけを教えてください。

 元々サメが好きだった事もあり、同時にサメ映画がとても好きで、良い役者やCGをふんだんに使った超大作から、冗談のようなサメが蠢く味のある低予算映画までなんでも観ます。

 そうしたサメ映画の世界をなんとか小説で再現してみたい、サメ映画の世界に参加したいという個人的な欲望につき動かされて書いたのが本作となります。

これまでの作品と共通する世界観、サメ映画好きの方へも

――ご執筆にあたって、苦労した部分、当初の構想から変わったところがございましたらお聞かせください。

 当初よりもキャラクターが増えた事もあり、よりキャラクター同士の絡みが複雑になりました。ある程度設定そのものが途中で変更になったりもしましたが、お陰でより味のある作品になったと言えるかもしれません。

――成田さんのファンの方はもちろんですが、他に、どのような方にオススメの作品でしょうか? また、今回の作品の注目ポイントをお教えください。

『デュラララ!!』『バッカーノ!』や「越佐大橋シリーズ」の世界と共通した世界観の作品ですので、既存作品のファンの方には仕込んだ小ネタなどでニヤリとして頂ければ幸いです!

 サメ映画好きの人にお勧めしたいのと同時に、逆にサメ映画を今まで一度も観た事がないという人にもあの独特な雰囲気を味わって頂けるよう目指して執筆しておりますので、色々な方にお楽しみ頂ければと思っております!

 既存の作品のノリを大切にしつつ、サメを主体においたサスペンスアクションを目指しておりますので、『デュラララ!!』『バッカーノ!』よりは人間関係よりもアクション的な部分に力を入れさせて頂きました。

 注目して頂きたいポイントですが、完全にサメ映画を踏襲するわけではなく、独自の要素も籠めているのですが、それは上巻の終盤から現在執筆中の下巻にかけて描かれる予定ですのでここでは秘密とさせて頂きます!

自分自身が楽しめる読者になれるように

――今回の作品に限らず、小説を書くうえで、いちばん大切にされていることや、こだわっていることをお教えください。

 とにかく読んで楽しいと思って頂ける事、自分が「こんな展開の話を読んでみたいな」と思ったものをそのまま書き、自分自身が作品を楽しめる読者になれるようにしつつ、なおかつ独りよがりな作品にならないようにバランスを取る事を目指して日々精進しています……!

 まだまだ足りない部分ですので、そこは一生勉強し続ける事になると思います。

――最後に読者に向けて、メッセージをお願いします!

 ここ数年、社会が激変して色々と大変な状況ですが、そんな中でもわざわざ『サメが暴れる小説』に興味を持って頂いた事だけで本当に感謝感激です……!!

 荒唐無稽なフィクションが皆さんの生活においてほんの僅かでも心を弾ませるきっかけとなるのなら、これほど幸いな事は御座いません。

 この度はインタビューをここまでお読み頂き、ありがとうございました……!!

 ***

成田良悟さんへの質問

Q:最近、嬉しかったこと、と言えばなんでしょうか?

 新しい仕事のお話などを色々と頂いている事でしょうか。

 まず既存の仕事をこなしてからのお話となるので形となるかどうかは解りませんが、デビューしてもうすぐ20年を迎える身でもお声かけ頂けるのは嬉しい事です……!

Q:ご自身は、どんな小説家だと思われますか?

 難しい質問です。デビューしたての頃は、隙間狙いで他の人がやらないような事をガンガン書いていくというスタイルを目指していました。

 ですが、15年以上作家をやらせて頂いておりますと、初期に思い描いた自分らしさともズレが生じ、いまだに変化をし続けている最中という感じです。

 ですので、これまでの作品群とこれからの作品群から私の人となりを判断して頂ければ幸いです……!

Q:おすすめの本を教えてください!

 多すぎて絞れないのですが、パッと思いついたものを上げさせて頂きますと、存在しない架空のゲームを解説しながら、人間と社会のありかたに切り込んでいく『ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム』。

 最近のファンタジー系の娯楽小説で最高に胸を熱くさせてくれる『異修羅』。

 そしてこれは短編小説となりますが、私が今までの人生の中で一番読みながら号泣した小説となります。異形コレクション33~オバケヤシキに初収録された大槻ケンヂさんの短編小説『ロコ! 思うままに』。

の三本を今回は上げさせて頂きます。

 ***

著者プロフィール

成田良悟(なりた りょうご)

東京都生まれ埼玉出身の小説家。
『デュラララ!!』『バッカーノ!』『Fate/strange Fake』(すべて電撃文庫)などを執筆。小説以外にも『デッドマウント・デスプレイ』(スクウェア・エニックス)などの漫画原作のほか、ゲームシナリオやドラマ原作など多種多様な作品を手掛ける。

聞き手・文:ナニヨモ編集部

ナニヨモ
2021年12月24日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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