『この30年の小説、ぜんぶ読んでしゃべって社会が見えた』高橋源一郎・斎藤美奈子著

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この30年の小説、ぜんぶ

『この30年の小説、ぜんぶ』

著者
高橋 源一郎 [著]/斎藤 美奈子 [著]
出版社
河出書房新社
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784309631455
発売日
2021/12/28
価格
1,078円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

『この30年の小説、ぜんぶ読んでしゃべって社会が見えた』高橋源一郎・斎藤美奈子著

[レビュアー] 産経新聞社

ここ30年余りに発表された小説について、希代の読み巧者である作家と文芸評論家が語り合った対談集。小説を通して、平成から令和へと至る現実社会の底流にあるものが浮かび上がってくる。

下り坂の平成期の作品に通底する労働疎外感。綿矢りさや村田沙耶香、松田青子らの作品ににじむ、「私」という自己の希薄さ。セクシュアリティーの多様性が顕著な令和の作品群…。

バブル崩壊や東日本大震災、コロナ禍を経て変わりゆく社会の中で、2人の話は人間と世界のありようへと広がっていく。作家への忖度(そんたく)なしの率直な物言いが心地良い。(河出新書・1078円)

産経新聞
2022年1月16日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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