『江戸 うまいもの歳時記』
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【気になる!】文庫『江戸 うまいもの歳時記』
[レビュアー] 産経新聞社
初物好きの江戸っ子を熱狂させた初鰹も、漁獲量が増えるにつれて安くなり、幕末には下級武士も鰹を食べるようになったという。
本書は江戸時代の地誌や農書の図版、浮世絵などに基づき、当時の食材や調味料を通じて食文化を紹介した本だ。歳時記の体裁をとり、春夏秋冬と無季に分類した。今では食べられなくなった雁(がん)や鶴も取り上げているが、ほとんどはなじみのある魚や野菜。食生活は豊かだったとみられる。
テレビ番組の時代考証に携わる著者が、月刊時代劇画誌の連載を一冊にまとめた。時代劇や歴史小説と合わせて読むと面白そうだ。(青木直己著、文春文庫・803円)