『世界文化遺産 北海道・北東北の縄文遺跡群 特別史跡 三内丸山遺跡』
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<東北の本棚>大集落跡の魅力を紹介
[レビュアー] 河北新報
世界文化遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」(北海道、青森、岩手、秋田各県)を代表する三内丸山遺跡(青森市)。貴重な発見が相次ぎ、従来の縄文観を覆した大規模集落跡の魅力をムックで紹介した。
約30年にわたる発掘の様子を写真で特集。谷を埋め尽くす土器片や大型掘っ立て柱建物跡の柱穴のほか、現地説明会に詰め掛けた見学者の姿が印象に残る。縄文人の暮らしの痕跡に触れた人々の興奮や熱気を感じさせる。
調査研究で分かってきた三内丸山の姿も説明。監修した青森県世界文化遺産登録専門監の岡田康博氏ら6人が執筆し、円筒土器や墓、ヒスイなど10のテーマを取り上げた。土偶から見た精神文化の発達や定住生活の成熟を感じさせる大型竪穴建物といった縄文文化の価値を分かりやすく解説する。
後半は縄文遺跡群を構成する17遺跡と関連する2遺跡のガイド。縄文草創期から晩期まで順に並べ、それぞれ見開きで特徴や見どころ、地元の資料館などを案内した。
遺跡群は集落跡や環状列石、共同墓地など、バラエティーに富んだ組み合わせで農耕以前の人類の生き方を重層的に描く。岡田氏は「縄文人になった気分で遺跡を散策する」楽しみも提案する。(和)
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東奥日報社017(718)1145=1980円。