『現代女性詩人論』
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『現代女性詩人論』
[レビュアー] 産経新聞社
95歳の著者は詩人、評論家、弁護士として活躍してきた。その詩の特質は明晰(めいせき)な論理であり、感性や感情に溺れた曖昧な表現を嫌う。本書は石垣りん、茨木のり子から伊藤比呂美まで10人を俎上にのせ、その作品を丁寧に解読・論評したものだ。
実作者であり戦後詩の目撃者としての豊かなキャリアを持った著者の、距離感を保った論理的な読みは説得力にあふれ、新たな気づきをいくつももたらす。詰将棋のように作品を冷徹に追い込んでゆく筆運びには、「評論とは真剣勝負」との信念が強烈に感じられる。現役詩人の反論が聞きたいところだ。(青土社・3080円)