【聞きたい。】鈴木英人さん『VACATIONEIZIN SUZUKI 鈴木英人 大人の画集ぬりえ』

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VACATION EIZIN SUZUKI 鈴木英人 大人の画集ぬりえ

『VACATION EIZIN SUZUKI 鈴木英人 大人の画集ぬりえ』

著者
鈴木 英人 [著]
出版社
KADOKAWA
ジャンル
芸術・生活/写真・工芸
ISBN
9784046810724
発売日
2021/12/23
価格
1,870円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

【聞きたい。】鈴木英人さん『VACATIONEIZIN SUZUKI 鈴木英人 大人の画集ぬりえ』

[文] 黒沢綾子

■旅心を誘う「線」の世界

山下達郎のレコードジャケットや、かつて人気を博した雑誌「FMステーション」の表紙でおなじみのイラストレーター兼版画作家、鈴木英人さん。青い海、きらめくビーチ、憧れのスポーツカー…。華やかな「1980年代」を象徴する都会的サウンド「シティポップ」がここ数年、世界的に再評価されたこともあり、ビジュアル面で支えた〝英人ワールド〟にも注目が集まっている。

鮮やかな色彩ばかりでなく、その神髄は「線」にある。光と影のコントラストもすべて、微細な線が決める。この豊かな線の表現を、近年ブームの「大人のぬりえ」にしたらどうなるか―。出版社が白羽の矢を立てたのもうなずける。

「最初、話をいただいたときはびっくりしましたが、なるほど、これは面白そうだ、ありそうでなかった本だなと思いました。実際に完成した本を開くと、こんな画集の見せ方があるんだと感心しましたよ」

40年以上にわたる画業から「バケーション」をテーマに30点を厳選し、作品の線だけを抽出。読者は原画に忠実に色を塗るも良し、思うままに着色するも良し。「夢のマイアミ」「バハマ島での午後の休息」など、現地取材を基にした作品群は、ウィズコロナの時代にあって、見る者の旅心を強烈に刺激する。

実は制作当時、「色を塗る」作業はなかったらしい。まず黒い線で描き、「その線にそって、米パントン社の色付きフィルムを一つ一つ切り貼(は)りするというアナログな〝貼り絵〟なんです。今はデジタルで着色しますけどね」。

塗るにせよ、貼るにせよ、根気が必要なのは変わらない。最後に応援メッセージを。「塗り絵の列車に乗ったら、途中下車をしないで終点まで行きましょう!(笑)」(KADOKAWA・1870円)

黒沢綾子

   ◇

【プロフィル】鈴木英人

すずき・えいじん イラストレーター。昭和23年、福岡県生まれ。デザイナー、アートディレクターを経て55年にデビュー。60年にリトグラフの作品集「EAST ALBUM」を発表以降、版画作家としても精力的に制作を続けている。神奈川県逗子市在住。

産経新聞
2022年2月6日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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