【児童書】『ジロッ』おおなり修司 文、たけがみたえ絵
[レビュアー] 産経新聞社
■擬音語で進む物語
草花の間から、大きな目でこちらを見つめるカエルの表紙が目をひく。物語の主役はカエル。横目で獲物のチョウのサナギをジロッと見るや、パクッとひと口。ひと眠りして目覚めると、大きなヘビが目の前を通りかかった。
逆にジロッと見つめられ、必死に逃げるカエル。ヘビに追われた先で、今度は大きなペリカンに狙われる羽目になり、上を下への大騒ぎ。果たしてカエルの運命は…。
カラフルで伸びやかな絵は版画で、カエルたちのユーモラスな動きがマッチ。絵を担当したのは、たけがみたえさん。牛たちに囲まれた体験をきっかけに、生き物と目が合った瞬間の「見たら見られた」をテーマに、木版画制作に取り組んできたという。
リズム感あふれる文体が好評のおおなり修司さんが文章を担当しており「ジロッ」「ケロケロスー」「ピョンピョンピョ~ン」といった擬音語だけで物語が進行する。絵も言葉もテンポがよく、声に出して読みながらページをめくると、思わず笑いがこぼれる。(絵本館・1430円)