『田沼意次 百年早い開国計画 海外文書から浮上する新事実』
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『田沼意次 百年早い開国計画 海外文書から浮上する新事実』秦新二・竹之下誠一著
[レビュアー] 産経新聞社
本書によれば、江戸中期の老中、田沼意次は開国計画を進めていた。オランダ式の帆を持つ船を建造し日本人水夫を育成。その船の姿を、日本海を航行中のフランス艦隊の将校が写し取っていた。
本書は、著者らが35年をかけて商館長日誌などオランダの公文書を調査した成果である。賄賂政治で知られる田沼の悪名の背後に隠された権力闘争を暴いていく。
著者は、当時の政治に関する資料の「すべてが跡形もなく」消され、田沼の悪名のみが語られ続けていると指摘する。田沼を失脚させた張本人は誰なのか。歴史の謎解きの醍醐味(だいごみ)が味わえる一冊だ。(文芸春秋企画出版部・1700円)