『ろうと手話』吉開章著(筑摩選書)

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ろうと手話

『ろうと手話』

著者
吉開 章 [著]
出版社
筑摩書房
ジャンル
社会科学/社会
ISBN
9784480017390
発売日
2021/11/17
価格
1,650円(税込)

書籍情報:openBD

『ろうと手話』吉開章著(筑摩選書)

[レビュアー] 梅内美華子(歌人)

 手話通訳の人は手指の形と同時に口を動かし表情をつけながら伝えている。唇の動きから言葉を読み取る「読話」のためである。どちらも大切な情報伝達のかたちだ。本書では、ろうあ者が直面してきた困難と問題を整理しつつ、多様なコミュニケーションとその可能性を探っている。

 近代のろう教育では、音声としての日本語を獲得させることを優先し、手などによるジェスチャーを排し口の動きを読み取らせる口話法を採用したという。ろう学校で手話が禁止された時代は長く、1960年代になって手話が言語だと認められ復活するまで受難の歴史がある。今では一般に認知されるようになったが「聞こえる人中心の社会」はいまだ続いている。

 本書の副題は「やさしい日本語がひらく未来」。著者は日本で苦労する外国人にわかりやすく伝える「やさしい日本語」の社会啓発を行ってきた。他言語を学ぶ難しさに、ろう児が抱える「言語の壁」を重ね、日本語教育のスキルを応用できるのではと提案する。学び方の選択肢やバックアップが増えることは個々の光となるはずだ。

読売新聞
2022年2月18日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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