【聞きたい。】大脇幸志郎さん 『悪いがん治療 誤った政策とエビデンスがどのようにがん患者を痛めつけるか』

インタビュー

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悪いがん治療

『悪いがん治療』

著者
ヴィナイヤク・プラサード [著]/大脇幸志郎 [訳]
出版社
晶文社
ジャンル
自然科学/医学・歯学・薬学
ISBN
9784794972934
発売日
2022/02/02
価格
3,520円(税込)

書籍情報:openBD

【聞きたい。】大脇幸志郎さん 『悪いがん治療 誤った政策とエビデンスがどのようにがん患者を痛めつけるか』

[文] 平沢裕子

■医療とお金 考えるきっかけに

たいして効かないがん治療薬が次々認可され、しかも高い値段がつけられているという米国の医薬品開発と医薬品行政の根本的な問題を取り上げた本書。著者はヴィナイヤク・プラサード・米カリフォルニア大准教授。原書を読み、日本でも出版したいと企画を持ち込み翻訳出版が実現した。

「現在使われているがん治療薬の多くはエビデンス(どれぐらい効果があるかの証拠)が適切に評価されていない。そして、例えば延命効果を知り得ない試験によって承認された薬が数千万円するなど、とてつもなく値段が高い。これを政治の問題ととらえた本書は、米国の対がん政策の話ではあるが、日本のがん治療にもかかわってくるだけに、多くの人に知ってほしかった」。医療と政治、お金の問題はがん治療薬にかぎらない。例えば、新型コロナウイルスではワクチンや治療薬、入院費といった医療費だけでなく、自宅療養者への食料品支給などにも税金が使われている。

「コロナで使われた何兆円というお金は費用対効果に見合ったものだろうか。日本は国民皆保険と高額療養費制度があるので医療にかかるコストを実感しづらく、またお金の話は出しにくい。こうした現状を変えていくのに、この本が少しでも助けになれば」

東大医学部時代、自分が医師として人の役に立つというイメージが持てず、医師国家試験に落ちたこともあり、卒業後は就職せずフリーターに。その後、批評家の東浩紀さんが立ち上げた出版社を経て医療情報サイトを運営していたが、やはり医師になろうと平成29年に医師免許を取得、30年から医師として働く。本書は2冊目の翻訳本で、自身の2冊目となる著書も来月出版予定だ。

「出版の仕事に携わったのは本が好きだったから。これからたくさんの読者を獲得し、世論にかかわっていけるようになりたい」(晶文社・3520円)

平沢裕子

   ◇

【プロフィル】大脇幸志郎

おおわき・こうしろう 医師。昭和58年、大阪府生まれ。著書に『「健康」から生活をまもる 最新医学と12の迷信』、訳書に『健康禍 人間的医学の終焉(しゅうえん)と強制的健康主義の台頭』。

産経新聞
2022年2月27日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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