『極限の思想 ニーチェ 道徳批判の哲学』
- 著者
- 城戸 淳 [著]/大澤 真幸 [編集]/熊野 純彦 [編集]
- 出版社
- 講談社
- ジャンル
- 哲学・宗教・心理学/哲学
- ISBN
- 9784065239490
- 発売日
- 2021/11/11
- 価格
- 2,310円(税込)
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『極限の思想 ニーチェ 道徳批判の哲学』城戸淳著
[レビュアー] 産経新聞社
19世紀ドイツの哲学者ニーチェはキリスト教道徳を批判した。なぜか。そんな命題から出発し、実存主義の先駆とされる思想の核心に迫っていく刺激的な論考だ。
同情や正義といった道徳的価値は、人間に健康と繁栄をもたらすとも考えられてきた。ニーチェはそうした道徳の恩恵こそを問題視する。道徳に従属することで残るのは、せめて違反せずに生きているという自己充足的な慰めに過ぎず、それは「人間の生をいわば道徳的なサイズに矮小(わいしょう)化」しかねないからだ。道徳批判と有名な「永遠回帰」思想の関連を説くくだりはスリリングで示唆に富む。(講談社選書メチエ・2310円)