『神になった武士』
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『神になった武士 平将門から西郷隆盛まで』高野信治著
[レビュアー] 産経新聞社
日本では古代より、衆に秀でた人物は死後に信仰の対象となってきた。平安期以降は武士が神格化された例も多い。全国の神社の武士祭神を統計化し、国家守護から現世利益まで、その多様な性格を読み解いたユニークな歴史書だ。
祭神数トップは徳川家康で623件。加藤清正の153件がそれに次ぐ。だが彼らのように広域でまつられる武士は例外で、95%以上は地域限定の信仰だ。祭神数番付の上位は古代・中世期の武士が目立ち、地域の守護神となっている例も少なくない。ほか、武士の神格化が最も多かった時代は近代であることなど、意外な事実も浮かび上がる。(吉川弘文館・1980円)