天下人・徳川家康は、子だくさんで知られた。側室には出産経験のある後家が多かったようだ。子孫繁栄を願う家康の戦略だったともいわれている。
主人公の阿茶も側室の一人で、もとは子連れの未亡人。家康の子を流産してしまうが、政治の世界をよく理解する才女で、家康がどこに行くにも供をして、小牧長久手の戦では小牧山にとどまり、朝鮮の役では名護屋まで下ったというから驚きだ。
そんな阿茶が心の支えにした、秘めた信仰や愛に焦点が当てられている。激動期を駆け抜けた、才ある女性の生き方が見えてくる。(幻冬舎・1980円)
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2022年5月15日 掲載
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