嫉妬心とうまくつきあうために「自分軸」の確立が必要不可欠な理由

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つい他人と比べてしまうあなたが嫉妬心とうまく付き合う本

『つい他人と比べてしまうあなたが嫉妬心とうまく付き合う本』

著者
根本裕幸 [著]
出版社
学研プラス
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784054068605
発売日
2022/04/14
価格
1,540円(税込)

書籍情報:openBD

嫉妬心とうまくつきあうために「自分軸」の確立が必要不可欠な理由

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

たとえば他人の幸せを素直に喜べないなど、自分自身のなかにある「嫉妬心」を持て余しているという方は決して少なくないはず。でも実際のところ、「うらやましい・悔しい」と嫉妬を感じる「あの人」のなかにも、同じように嫉妬心は存在するもの。

心理カウンセラーである『つい他人と比べてしまうあなたが嫉妬心とうまく付き合う本』(根本裕幸 著、学研プラス)の著者は、そう指摘しています。

嫉妬とは、どんなに立派とされる人でさえも抱くことがある感情。嫉妬してしまうから「嫌な人間」だというわけではないということです。

とはいえ、嫉妬をするのは、やはり苦しいもの。なんとかしたいと思っても不思議ではありません。だとすれば、どうしたらいいのでしょうか?

私は嫉妬に悩んでいる方のお悩み相談を受けることも多いのですが、その際に、こんなふうにお伝えすることがあります。

嫉妬って、あなたが自分の魅力に気づくためのサインなんですよ。そしてこの苦しみから解放されるための重要なキーワードは、“自分軸”です」(「はじめに 嫉妬はあなたの魅力を教えてくれる素敵なサイン」より)

評価の「軸」が他者や外側にあると、嫉妬は生まれやすくなってしまうもの。だとすれば、自分のなかに「軸」をつくってしまえばいい。そうすれば、比較・競争という呪縛から離れることができるという考え方。

自分だけの「軸」を大事に育てて追求し、磨いていけば、やがて嫉妬することも減っていく可能性があるというわけです。

そこで、きょうは第3章「もう苦しまないで! 嫉妬をプラスに変える3つのマインドセット」内の「マインドセット3 嫉妬に負けない『自分軸』を作る」に焦点を当ててみたいと思います。

人は誰もが「不完全」な存在であると認める

私たちは少なからず、「完璧主義」や「理想主義」にとらわれて生きているもの。また、無意識のうちに自分を友人や知人と「比較・競争」してしまうこともあるでしょう。

著者によれば、こうした完璧主義・理想主義・比較・競争には共通点があるのだとか。それは、「いまの自分では不完全である」という観念。「不十分」といいかえることもできるようです。

だから、周囲の人と自分をくらべて優越感に浸ったり、劣等感に苛まれたりしてしまうということ。当然のことながら、「完璧な人間になって、みんなから認められたい」という強い承認欲求も生まれることになるでしょう。周囲からの期待も含めて「理想的な自分」を描き、そうなろうとして背伸びをするわけです。

しかし、それでは逆効果。「いまの自分は不完全だから、もっときちんとしなくちゃいけない」「もっと完璧にならなくては」などということを無意識のうちに考えすぎてしまい、不完全な自分を受け入れることもできず、自らを嫌ってしまうことになってしまうから。

だいいち、実際のところ「完全な人」なんていないのです。著者が次のように主張しているのもそのためです。

私はよくカウンセリングで「あきらめましょう!」という提案をします。

「ええっ! なんて後ろ向きな提案!」と思われたかもしれませんが、じつは「あきらめる」の語源は「明らかにする」という意味なのです。

つまり、「完全になることをあきらめる」というのは「不完全な自分を明らかにする」ことであり、それは「不完全な自分を受け入れる」ことにつながります。(141ページより)

すなわち、「理想にまったく到達していない自分」を許すことによって、誰かと自分を「比較・競争」することをやめるということ。不完全なままでいいわけです。(139ページより)

自分軸をつくる考え方「私は私、人は人」

私は私。人は人。

職場の同期だろうが、同性だろうが、同年代だろうが、あなたとは生き方も考え方も行動も違う、別の人です。

仮にきょうだいであっても、幼馴染であっても、親友であっても、パートナーであっても、「私は私だし、相手は相手」なのです。(150ページより)

このように、自分と他者との間に明確な線を引くことを「自分軸」というのだそうです。

誰かに嫉妬してしまうとき、私たちは気づかないうちに「他人軸」になっているもの。自分よりも相手の存在に意識が向いている状態、自分よりも相手を優先してしまっている状態だということです。しかしそれでは、嫉妬心が生まれてしまっても当然。したがって、自分軸を確立していくために「私は私、人は人」と常に意識すべきだと著者は述べています。

嫉妬心を覚えたときはとくに、「私は私、あの人はあの人だ」というふうに、明確に線引きする様子をイメージすることが大切。それだけで、嫉妬が軽くなる可能性は大いにあるわけです。

また、自分軸を確立していくと、「自分の手の届く範囲がどこ(どれ)までなのか」がわかるようになってくるもの。

「それって、私になんとかできること?」という問いかけを自分にした結果、相手の存在ではなく「今、自分ができること」に意識を向けることができるようになります。

逆に「これはもう、自分にはどうしようもないことだなあ。だったら私は、今の自分ができることをやろう!」と意識を切り替えられるのです。(151ページより)

自分軸を確立することは、嫉妬という感情が持っているネガティブなパワーから逃れるための、重要な鍵のようなものだと著者はいいます。

「私は私、人は人」は、その鍵を使いこなすためのおまじないなのだとも。自分の内部に嫉妬が生まれたときには、このことを思い出すべきかもしれません。(150ページより)

嫉妬は「悪いもの/なくしたほうがよいもの」ではないと著者は訴えています。そう考えてしまうと、よけい苦しくなってしまうだけだとも。

大切なのは、これまでの考え方やものの見方を少しずつ変えていくこと。そうすれば結果的に、もともと自分のなかにあった前向きな気持ちやパワーが引き出され、生きづらさはぐっと解消されていくわけです。そんな境地に達するために、本書を活用してみる価値はありそうです。

Source: 学研プラス

メディアジーン lifehacker
2022年5月13日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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