配慮ができる人はやっている「DESC法」コミュニケーション活用術

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すぐに結果を出す新入社員は、「これ」だけやっている 20代のうちに身につけておきたい「しごと」のコツ

『すぐに結果を出す新入社員は、「これ」だけやっている 20代のうちに身につけておきたい「しごと」のコツ』

著者
伊庭正康 [著]
出版社
秀和システム
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784798064468
発売日
2022/04/15
価格
1,540円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

配慮ができる人はやっている「DESC法」コミュニケーション活用術

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

はたして、人生のゴールデンエイジとは何歳までなのか?

すぐに結果を出す新入社員は、「これ」だけやっている 20代のうちに身につけておきたい「しごと」のコツ』(伊庭正康 著、秀和システム)の著者はこの問いに対して、「社会人3年目まで」であると断言しています。

たしかに、最初の3年の間に「厳しい仕事」を任せられたとしたら、その経験はのちの成長につながっていくでしょう。

とはいえ失敗のリスクもある厳しい仕事は、“できれば避けたいもの”でもあります。そのため、「やりたくない仕事は、しなくない」と思ったとしても無理はないのかもしれません。

ただし、だからといって避け続けていたら、いつまでたっても停滞したままになってしまいます。

では、どうすればよいのでしょうか。答えは、簡単。

20代は、すべてを「投資の発想」で考えること、です。

どんなに「気が乗らない仕事」であっても、「面倒だな」と思うことでも、あなたの人生を豊かにする「投資」に変える方法を知れば、多くの人が、そうであるように、間違いなく、あなたもチャンスをつかむことができるでしょう。(「はじめに」より)

逆に、「我慢してやればいい」と自分にいい聞かせることは絶対にやってはいけないのだそう。

なぜなら「我慢する」ことを覚えた瞬間から、「仕事は仕事と割り切る」という発想に陥ってしまうから。その結果、あきらめにも似た「受け身の仕事観」が身についてしまうというわけです。

そこで本書では、「身につけておきたい社会人としての基礎力」から「仕事に向き合う姿勢」まで、さまざまな“仕事のコツ”を明かしているのです。

きょうは「コミュニケーション」に焦点を当てた第3章「『なんとなく』のコミュニケーションでは評価を下げる」のなかから、「『好感度の高い人』の話し方とは」に注目してみたいと思います。

誤解されやすい人の会話の特徴

一目置かれる人は「遠慮」をして行動を控える人ではなく、「配慮」をして“行動する人”。「遠慮」が行動を起こさないさまを指すものであるのに対し、「配慮」とは行動を起こすさまのこと。つまり、まったく異なるわけです。

「配慮」が大切だなどといわれると、難しそうに思われるかもしれません。が、決して難しくはなく、話し方を少し変えるだけで印象はガラリと変わるもの。したがって、「好感度の高い人がやっている話し方」を知っておくべきだということです。そして、そこで注目したいのがコミュニケーションのスタイル。

私たちが使っているコミュニケーションには①アグレッシブ型、②ノンアグレッシブ型、③アサーティブ型という3つのパターンがあるというのです。

そして選択すべきでないのは、①と②。それぞれを確認してみましょう。

① 嫌われやすい「アグレッシブ型」

これは、主張を押し通す攻撃的なコミュニケーションを指すようです。間違ったことをいっているわけではないため、意見は通るかもしれないけれども、問題は相手を無視していること。そのため結果的に、嫌われやすい対話になってしまうというわけです。

② 報われにくい「ノンアグレッシブ型」

一方こちらは、いいたいことを我慢するコミュニケーション。遠回しに伝えてしまったり、「わかってもらえるとありがたい」と思って発言すらしないことも含まれるといいます。その結果、「他人に振り回される」「わかってもらえない」とストレスを抱え込んでしまうことにもなるのです。(96ページより)

これが「嫌われない人」の話し方

では、選択すべき「アサーティブ型」とはどのようなものでしょうか?

③ 配慮できる人の「アサーティブ型」

アサーティブ型とは、自分の考えや気持ちを正直に伝えつつ、相手の想いも素直に受け止めるコミュニケーションスタイル。

著者はここで、「DESC法(デスク法)」を活用することを勧めています。

DESC法とは、「Describe:事実を描写する」「Explain:意見を述べる」「Specify:提案・相談する」「Choose:選択を求める」という流れで主張する方法。

この方法を用いれば、いいにくいときや、場の空気を読んだほうがよさそうな時などに、遠慮せず、配慮をしながら主張できるようになるのだそうです。

たとえば、このように。

「急ぎで、この資料をまとめてくれないかな?」と頼まれて……

[事実を描写(語る)]かしこまりました。実は、取引先との約束があり、

[意見を述べる]こちらを優先すると、今日の作業が難しい状況なのです。

[提案・相談する]差し支えなければ、明日の対応でもよろしいでしょうか?

[選択を求める]とはいえ、ご事情もあるかと存じます。いかがなものでしょうか?

(99ページより)

ポイントは、いきなり主張するのではなく、まず「事実(描写)」から話すこと。

そのうえで「自分なりの意見」を説明し、状況を理解した上で、「相談(提案)」をするーー。

こうした流れに基づいて、配慮のある主張をすることが重要だということです。

逆に、事実や意見をいうよりも先に、いきなり「明日の対応でもよろしいですか?」と返事をしてしまうと、アグレッシブ型の対話(嫌われる対話)になりかねないもの。したがって、いいにくいことの主張や、お願いごとをしたい際には、さりげなくDESC法を使えるようになれれば効果的だというわけです。(98ページより)

著者は、次世代リーダー研修、管理職研修、新人研修などを提供する会社の代表。各企業において、選抜された人材にトレーニングを行っているからこそ、「最初の3年」の重要性を強く感じているのだといいます。そうした思いを軸とした本書は、これからキャリアを積み上げていこうとしている人たちを的確にサポートしてくれることでしょう。

Source: 秀和システム

メディアジーン lifehacker
2022年4月26日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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