『目標達成のための手帳術』
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やりたいことを叶えたいなら「目標を書き出す」。ただしノートに手書きで!
[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)
やりたいことをなんでも叶えるためのシンプルで簡単な方法は、たった1冊の手帳の使い方にあるーー。
『やりたいことを何でも叶える 目標達成のための手帳術』(樋口圭哉 著、ぱる出版)の著者は、そう主張しています。
本書でお伝えする手帳の使い方は、自分の人生を適切にマネジメントし、やりたいことを何でも叶える最強のツールとしての【Tobe手帳】の使い方です。
たった1冊の手帳の使い方次第で、あなたの「やりたいこと」が、思い描いたとおりに進んでゆくのはもちろんのこと、「やりたい」ことが叶い始めると、さらにその欲求は高まり、もっと叶えたくなってくるものです。
その結果、自分の人生が劇的に変化していくと言っても過言ではありません。(「はじめに』とは?」より)
「独立して会社をつくりたい」「資格をとって社会に貢献したい」「サービス業を営んでお客様に喜んでいただける場所をつくりたい」「本を出版したい」など多くの望みを持っていた著者もまた、それら自分が「やりたい」と思ったことはほとんどすべて叶えてきたのだとか。
そんな著者には持論があるそうです。やりたいことが叶わない人は、才能がないのではなく、単にやりたいことがいつの間にか「心から離れて」しまっているにすぎないということ。
そこで本書では、誰でもできる簡単な方法で、「心から離れて」しまう無限ループから脱却し、やりたいことをなんでも叶える手帳の使い方を明らかにしているのです。
きょうは第2章「事前準備」のなかから、「やりたいことを100個書き出す」に焦点を当ててみたいと思います。
やりたいことを叶えるために、もっとも大切なこと
著者はここで、やりたいことを叶えるためにもっとも大切なことを紹介しています。
準備するのは、A4サイズくらいの用紙、もしくは真っ白なノートとペン。
そこに自分がやりたいこと、興味のあること、楽しみたいこと、望んでいること、行きたい場所、欲しいものなど、「ああしたい」「こうしたい」「こうなりたい」ことを、思い浮かぶままに書き出すというのです。
目標は100個で、制限時間は20分。大きな夢から些細なことまで、できるだけたくさん書くことが大切だといいます。
このときの注意点は次の3つです。
(1)できるかどうか? は考えないこと
(2)ただ、率直な気持ちでやりたいことだけを考えること
(3)手書きで書くこと
(54ページより)
なお、(3)には明確な理由があるのだといいます。
ドミニカン大学カリフォルニア校で心理学を教えているゲイル・マシュー教授が実験を行い、目標を手書きしたときの達成率と、キーボードでタイプしたときの達成率を比較した結果、手書きするだけで達成率が42%上がることが実証されたというのです。
では、なぜ手書きをすることが効果的なのでしょうか?
それは、書くという動作が、脳幹の網様体賦活系(もうようたいふかつけい|RAS)にある細胞を刺激するから。そして、この網様体賦活系こそが脳の活動を支配するコントロールセンター。
情報を理解し、処理し、記憶し、「なにに対して積極的に注意を払うか?」を判断し、心の感情を生み出して、「どんな行動をとるべきか?」について考えたり、行動意欲を促進する命令を発する機能を備えているのだといいます。
キーボードでタイプするときに必要な指の動作は8種類しかないそうです。
対して、手書きをするときに必要な指の動作は1万種類もあるそうで、その分、脳で働く神経も多くなります。
したがって、手書きをすると網様体賦活系(RAS)が活性化され、指示を受けた潜在意識が、目標達成に向けて動き出すようになるというのです。(56ページより)
いまの時代には手書きをする機会は少ないかもしれませんが、そこには大きな意義があるようです。(54ページより)
目標を書き出すことの有効性
目標を書き出すことの有効性については、ハーバード大学の研究チームが1979年から10年かけて追跡調査を行った研究によっても証明されているそうです。
調査開始時、研究チームが同大学の学生たちに「目標を持っているか?」「目標を紙に書き出しているか?」と質問したところ、次のような回答が得られたというのです。
・84%の学生は「目標を持っていない」と答えました。
・13%の学生は「目標を持っているが、紙には書いていない」と答えました。
・残り3%の学生は「目標を持っているし、紙に書いている」と答えました。
(57ページより)
ハーバード大学の学生でさえ、将来に向けて明確な目標を持っているのはわずか16%で、そのうち紙に書いている学生は3%にすぎなかったということ。
なお10年間の追跡調査の結果、「目標を持っていたが、紙には書いていなかった13%の卒業生は、目標を持っていなかった84%の卒業生の2倍の収入を得ていた」ということがわかったのだそうです。
しかも「目標を紙に書いていた3%の卒業生」にいたっては、他の97%の卒業生の10倍の収入を得ていたのだといいます。
著者によれば、この結果からわかるのは「網様体賦活系(RAS)には、GPS機能が備わっている」ということだそう。
つまり、簡単に説明すると、網様体賦活系(RAS)がカーナビシステムを搭載しているので、自分が「どこに行きたいか?」さえインプットすれば、そこに辿り着くための情報を勝手に収集し、自動的に辿り着けるようにしてくれるということです。
もっと言えば、たとえ道を間違えたとしても、すぐに新しい道を検索して辿り着けるように軌道修正もしてくれるということです。(58ページより)
だからこそ、「どうすれば行けるのか?」を考える必要はなく、「どこに行きたいか?」だけを書き出せばよいということ。それが、適切なスタートラインとなるのでしょう。(54ページより)
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本書を読み始める前に、いつも使っているスケジュール管理帳とは別の、新しい手帳を準備してほしいと著者は記しています。
その手帳の目的を踏まえたうえで本書を活用すれば、やりたいことを叶え、自分の人生をマネジメントできるということ。気になる方は、試してみてはいかがでしょうか?
Source: ぱる出版