『ソビエトアジアの建築物』ロベルト・コンテ、ステファノ・ペレゴ編・写真
[レビュアー] 産経新聞社
旧ソビエト連邦の構成共和国だったカザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、タジキスタンにはかつて、独特のモダニズム建築が建てられた。イタリア人写真家2人が、ソ連崩壊後も中央アジアに残る建築遺産を記録した写真集。
集合住宅は一見、いろんな建築様式や土地の伝統的装飾を取り入れているが、規格化し大量生産したものという。遊牧民の定住化を進め、均質化した生活を強いる国家に人々は水面下であらがった。
建築を通じて広大な国土を統制しようとしたソ連時代の野望は、ウクライナへの不当な侵略を続けるプーチンの野望と重なってみえる。(グラフィック社・2200円)