『生きつづける民家』
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『生きつづける民家保存と再生の建築史』中村琢巳著
[レビュアー] 産経新聞社
昭和の時代には珍しくなかった伝統的民家の暮らし。都市化の進展に伴い失われ、残された民家はむしろ非日常を味わえる空間として、宿泊施設や飲食店などに再生されて人気を集めている。本書は、現代に残る民家がどのようにして受け継がれてきたかを、日本の民家の特性から解き明かす。
本書のいう民家とは、農家や町家など庶民の住まい。木造建築は高温多湿の環境下では劣化しやすい。このため、障子の張り替えや畳の表替えといったメンテナンスが繰り返されたという。古材の使いまわしや森林の確保、災害への備えなど、先人の知恵と工夫が興味深い。(吉川弘文館・1980円)