幸せな人生を歩むために活かす。ドラッカーからの5つのメッセージ

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自分の運命を経営せよ 超訳 ドラッカーの言葉

『自分の運命を経営せよ 超訳 ドラッカーの言葉』

著者
山下淳一郎 [著]
出版社
同友館
ジャンル
社会科学/経営
ISBN
9784496055935
発売日
2022/03/10
価格
2,200円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

幸せな人生を歩むために活かす。ドラッカーからの5つのメッセージ

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

超訳 ドラッカーの言葉』(山下淳一郎 著、同友館)は、「知の巨人」と称される経営学者のピーター・F.ドラッカーが残した“ビジネスパーソンが知っておくべきことば”を、読みやすい超訳というかたちでまとめた書籍。経営チームづくりのスペシャリストである著者は、冒頭でドラッカーの次のことばを引用しています。

成功に必要なものは責任である。あらゆることがそこから始まる。大事なことは肩書きではなく責任である。『非営利組織の経営』(「まえがき」より)

ここでいう肩書きとは役職のことですが、要は役職ではなく責任が大事だということ。そんな「責任」について著者は、「誰かに負わされるもの」ではなく、「自ら追うもの」であると主張しています。それは、果たすべき役目を最後までやり遂げようとする揺るぎない意志なのだと。

本書は、階層ごとの「責任」の内容を明確に表した「責任」の書です。本書を読むと、“「責任」を果たすためにどんな行動を起こせばいいか”がわかります。(「まえがき」より)

特徴的なのは、「経営トップ」「取締役」「部課長」「一般社員」「上司」「部下」「サラリーマン」「学生」「あなたに」と、それぞれの立場に向けたメッセージが簡潔にまとめられている点。きょうは9「幸せな人生を歩むあなたに」のなかから、いくつかを抜き出してみたいと思います。

2度挑戦してうまくいかなかったら

私は小説家になりたいと思っていました。

小説本を出せるようになったのは70代になってからです。2冊書きました。しかし、ほとんど売れず、すぐに絶版になりました。

私はそれ以来、小説に手を出していません。「うまくいくまで何度でも挑戦しよう」というのは間違いです。(309ページより)

ドラッカーはこのように述べています。2度挑戦してうまくいかなかったら、3度目は違うことをやるべきだと。とかく続けることだけが評価されがちですが、これはこれで意義のある考え方だといえるのではないでしょうか?

『ドラッカーに学ぶ自分の可能性を最大限に引き出す方法』(309ページより)

自己実現に必要な5つのこと

人は幸せになるために生きているもの。幸せとは、自己実現のこと。そして自己実現とは、「仕事を通じて人のお役に立てている喜びを実感している状態のこと」だといいます。

一、明確な目標をもつ。

二、真摯さを重視する。

三、自分を高めるために継続的に学習を行う。

四、自分の仕事の良し悪しを測る物差しをもつ。

五、新しい仕事では、貢献すべきことを明らかにする。

『創生の時』

自己実現には、これら5つのことに取り組むべきだということです。(310ページより)

いまの時代、すべての人がなにかを学び続けなければならない

社会はどんどん変化していくもの。なにもかもがすぐに古いものとなり、なにもかもが新しいものに置き換わっていくわけです。したがって、あらゆる業界、あらゆる分野で仕事するすべての人に必要なのは、次から次へと“新しいなにか”を学び続けていく姿勢。

とはいえ、ただやみくもに漠然としたなにかを学んでも、それが自分の仕事、自分の人生に役立たなければ意味がありません。そこでドラッカーは、「自分はなにを学べばいいか」を次の視点で選んでいくことを勧めています。

一、自分が得意とするものに関係あるもの。

二、次のチャンスに生かせそうなもの。

三、自分が大事だと思えるもの。

『明日を支配するもの』(315ページより)

より優れた人格の修得を目指す

向上心とは、「現在の状態からさらなる高みを目指し、努力する意思」。それは、自分の課題を自分で見つけ、自分を高めようとする原動力。

自分を人間としてより高い段階へ上昇させようとする行為、より高い能力、より大きい成功、より充実した生き方、より優れた人格などの修得を目指すもの。それが、心の成長です。大事なことは、人間として大きくなることです。

『非営利組織の経営』(316ページより)

したがって、きょうも自分を高めるべく、自分の課題に取り組んでいくべきだという考え方。(316ページより)

Build on Strength!!(強みの上に強みを築け!)

嫌いだった食べものが好きになることはあっても、苦手なことが得意になることはないはず。弱みが強みになることもないでしょう。弱みは弱みであり続けるということです。

誤解を恐れず断言します。自分の弱みは無視してください。自分の強みを磨くことだけを考えてください。

『マネジメント』(317ページより)

強みの上に強みを築き、強みの上に自分を築いていくことが大切であるわけです。(317ページより)

「責任」に焦点を合わせると、人は自らについてより大きな見方をするようになるとドラッカーは述べているそうです。それはうぬぼれやプライドではなく、誇りと自信。“一度身につけてしまえば失うことのないなにか”。自身の成長を内面的な目指すためにも、手にとってみる価値はありそうです。

Source: 同友館

メディアジーン lifehacker
2022年5月30日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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