結果がでる! 「仕事が速い人」が実践する効率的な時間の使い方

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結果がでる! 「仕事が速い人」が実践する効率的な時間の使い方

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

本書は、前作『仕事が速い人は、「これ」しかやらない』の図解&ノート版です。

図解は、イラストや図でそのビジュアルが目に飛び込んできてイメージしやすくなります。文字を読み、図やイラストを見る。

オリンピック水泳競技の金メダリスト北島康介氏のメンタルコーチで、日本代表競泳チームに脳科学の専門家として参加していた林成之氏は、「ふたつ以上の動作が記憶の定着に有効」と言っています。つまり、文字を読み、図やイラストを見ることは、記憶の定着につながるのです。

さらにノートとして書き込む箇所もあり、インプットしたコンテンツをアウトプットし、フィードバックすることができます。(「はじめに」より)

この記述からもわかるように、『ワークブック 仕事が速い人は、「これ」しかやらない ラクして速く成果を出す「力の抜き方」』(石川和男 著、PHP研究所)は、2020年3月刊行の同名書籍の内容をベースとして、図解やワークを新たに追加したもの。覚えておきたいエッセンスを、よりわかりやすく習得できるわけです。

ただし、忘れるべきでない重要なポイントがあるのも事実。たしかに図やイラストは、理解の手助けになってくれるでしょう。しかし、それはあくまでテキストの説得力があるからこそ成り立つもの。つまり、本質的な部分を忘れるべきではないのです。

そこで、きょうはあえてテキスト部分に焦点を当ててみたいと思います。第6章「自分の時間が増える『すぐやる人』の習慣」のなかから、3つのポイントを抜き出してみましょう。

仕事が速い人の朝時間の使い方

朝は、集中力が満タンな状態。そして、朝イチに取り組む最大の効果は、「出社までという究極の期限があること」だと著者は主張しています。その貴重な時間を生かすことが大切だというわけです。

たとえば、「明日からは毎朝、早く起きて勉強しよう」と決めたとしましょう。自分で決めたことなのですから、もちろん最初のうちはがんばって早起きできるはず。ところが数日経つと、布団から出るのがつらくなってきたりするもの。しかも、目覚まし時計で目覚めることができたとしても、睡眠不足でぼーっとして頭が働かないのであれば意味がありません。

そこで、朝すっきりと目覚めるためには「逆算」をするべきだと著者はいいます。

① ◯◯の資格試験に合格するなど、目標を達成するための計画を立てる。

② その目標を達成するためには、毎朝、何時間の勉強が必要かを調べる。

③ 出社時間から逆算する。たとえば、毎朝1時間の勉強が必要なら、出社準備時間の1時間前に起きると決める。

④ 自分が最高のパフォーマンスを発揮できる睡眠時間を調べる。起床時間から逆算して、その睡眠時間を確保するためには何時に寝ればよいかを確認し、毎晩その時間に寝ると決める。

(86ページより)

つまり重要なのは、床につく時間。起きる時間だけ決めても、寝る時間がバラバラだと充分な睡眠時間をとることができず、結局は寝不足になって長続きしなくなってしまうわけです。(86ページより)

すぐやる人のメンタル

自分の仕事に自信が持てず、なかなか行動できない人がいます。「失敗したらどうしよう」「売れなかったらどうしよう」というようなネガティブなことばかりを考えてしまい、結局は行動できなくなってしまったりするわけです。

一方、悩む前に行動してしまうのが「仕事の速い人」。仮に失敗したとしてもあまり落ち込まず、引きずることもなく、切り替えが早いもの。つまりは「仕事なんて失敗してなんぼ」と考える習慣を持っているということです。

そこで、「自信が持てない人」に向けて、著者他次のようなメッセージを送っています。

成約が取れるかどうか不安で動けないという人は、成約率ではなく、回数を目標に変えてみてはいかがでしょうか。

「1か月に5件の成約を取ること」ではなく、「午前中に100本の電話セールスをかけること」なら、ある意味ルーティンワークです。不安で動けない人でも、とにかく行動することができます。

また、自分の業界の成約率を調べておくのもいいでしょう。平均値を知ることで、必要以上に不安がらずに済むようになります。(88ページより)

そうはいっても、失敗して落ち込み、動けなくなることはあるものです。そこで、そんなときは「1年後のきょう、会社を辞める」と考えてみてほしいと著者は提案しています。

大胆な発想ですが、たしかに期限が1年しかないとなれば、落ち込んでいる暇はなくなります。「実践できることがあったら、ひとつでも多く試してみよう」と、前向きに行動できるようになっていくわけです。(88ページより)

できる人の「15分の使い方」

勉強でも仕事でも、毎日同じ場所で行っていると、だんだん飽きてくるものです。そこで、そんなときは思い切って外に出て、違った場所で続きをやるべき。そうすれば、集中力が復活するからです。

教育学者の齋藤孝氏の著書に、『15分あれば喫茶店に入りなさい』(幻冬舎)という本があります。これは、「喫茶店でコーヒーを飲んでくつろぎなさい」という趣旨ではありません。「たとえ15分程度の短い時間であっても、ぽっかりと時間が空いてしまったら喫茶店に入って仕事をしなさい」という意味です。(92ページより)

著者も15分あれば喫茶店に入るそうですが、その際の注意点が2つあるのだとか。

まず1つは、「入る前にやることを決める」こと、もう1つは、「SNSなどを見ないようにスマホの電源は切る」こと。

たった15分であったとしても、喫茶店に入って仕事をするもう1つのメリットは、「締め切り効果が発揮される」こと。「たった15分しかないのに喫茶店に入ったからにはモトをとろう」と考えるわけです。

お金を払ってでも喫茶店に入って仕事をするのは、時間がなにより貴重なものだと認識しているから。せっかく時間を使うなら、集中して濃い時間にするべきなのです。(92ページより)

このように、テキスト部分も簡潔にまとめられている点が大きな魅力。空いた時間を活用してサクッとノウハウを身につけたいとき、大きな力になってくれることでしょう。

Source: PHP研究所

メディアジーン lifehacker
2022年6月1日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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