毎朝5分「イメトレ歯磨き」がキャリアアップの近道に!できる人の行動・思考習慣

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毎朝5分「イメトレ歯磨き」がキャリアアップの近道に!できる人の行動・思考習慣

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

ビジネスパーソンが抱える「キャリアの悩み」は、働く、稼ぐ、生きていくという3つのバランスがうまく取れないことに関係しているーー。

今すぐ転職を考えていない人のための キャリア戦略』(田中研之輔 著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者は、そう指摘しています。法政大学キャリアデザイン学部教授として、さまざまな業種で働く多くのビジネスパーソンに対し、キャリアについての知見を伝えてきたという人物。

そこで本書においては、キャリア論の知見と自身の経験、企業登壇やビジネスパーソンへのヒアリングなどで得た“リアルな悩み”を軸として、「キャリアの悩みを和らげ、これからのキャリアを自分らしく築いていくための方法」を伝えているのです。

なお特徴的なのは、その方法を「キャリアナレッジ」と名づけている点。これは著者による造語で、キャリアの悩みを一つひとつ解決していくために、具体的に取り組むことのできる思考法を集めた「知の基盤」だそう。大切にしているのは、次の3点だといいます。

① 形式的な知識ではなく、実践的な知識であること。

② 転職・副業・起業など、キャリアの「転機」だけではなく、キャリア形成の「日常」に重きを置き、日頃の働き方や生き方を考えること。

③ キャリアを過去のものではなく、過去―現在―未来の時間軸のなかで捉え、自ら構築していくものであると認識する。言い換えれば、キャリアとはこれまで生きてきたすべての経験からなるあなたの足跡であり、これからを生きていく羅針盤であると考えること。

(「はじめに」より)

こうした考え方に基づく本書のPART2「より良いキャリアは、日々の行動から始まる」内の第3章「キャリアは日々の行動から」のなかから、きょうは2つのポイントを抜き出してみたいと思います。

朝の5分間、一日のイメトレをする

所要時間:歯磨きをしながら5分

やりかた:

①今日一日のおおよそのスケジュールを頭の中に浮かべていく

② パフォーマンスをあげるタイミングを浮かべ、一日のリズムを確認する

③ (余力があれば)重要な場面のシミュレーションをする

(165ページより)

一日のスタートラインである朝に、歯を磨きながら意識してほしいことがあるのだと著者はいいます。それは「一日をよりよく過ごすためのイメージトレーニング」であり、意識すべきことは一日のワークイメージだそう。

会議、商談、新規事業案件など、ぎっしりと詰まった一日のスケジュールを頭のなかで流していくことがその第一段階。そんな「スケジュール流し」が終わったら、次はパフォーマンスコントロールをイメージする段階

すべての予定でベストパフォーマンスを発揮するのは難しいことなので、「一日のどの予定にピークを持っていくのか」をイメージするわけです。慣れてくると、複数のピーク(3つから5つくらい)を自らつくり出すことができるようになるのだとか。

つまり、こうすることによってリズムが生まれるわけです。それぞれの案件に向けた心がまえや準備もできるだけ具体的にイメージすることが大切。

なにも考えず、ぼーっと歯を磨いている毎朝の5分を『イメトレ歯磨き』に変えてみるだけで、凡ミスが減るようになり、的確な発言やフィードバックの確率が向上。さらにはアウトプットにもつながるようになるそうです。(165ページより)

ネガティブ癖をなおし、ポジティブを習慣化する

人はなにかとネガティブな思考に陥ってしまいがち。つまりネガティブ思考は、癖のようなものだと考えることもできるわけです。

著者も、まず前提として、メンタル的に落ち込んでしまう状態は、誰にでも起こりうる問題だということを理解しておくべきだと強調しています。

あなたのネガティブ思考は、あなたを取り巻く環境が長年あなたに着せ続けてきた鎧にすぎません。

だから、もし今、あなたがそのような状態にあるなら、「自分はダメだな」とか「メンタルが弱いな」と、自分自身を責めては絶対にいけません。そして、「自分にはどうにもできない」と思うのも間違いです。(172ページより)

たとえば仕事で大きな失敗をして、同僚や上司、会社に多大な迷惑をかけたなどということは(程度の差こそあれ)誰にでもありうること。

別な見方をするなら、過去の出来事を自分でいかに受け入れていくかによって、現在の働き方も大きく変わってくるわけです。

人生とは思い通りにいかないものなのです。思い通りにいかないからこそ、うまく行った時に大きな喜びを感じることができるのです。

大切なことは、自らの過去を経験を誰よりもあなた自身が認めてあげることです。辛い時期を乗り越えたあなたを見て認め、褒めてあげるのです。自らの過去を受け入れることで、現在の見え方が変わってくるのです。(173ページより)

当然のことながら、過去に起きた出来事を変えることはできません。だから人は悩むのでしょうが、過去に起きた出来事の捉え方を上書きすることもできるはず。

むしろ、過去の痛みを受け入れることができたとき、いまの生活と素直に向き合うことができるようになるのだといいます。

ネガティブは癖。

ポジティブは習慣。

癖を直し、より良きキャリア習慣を。

(174ページより)

著者のこのシンプルなメッセージは、心にとどめておくべきかもしれません。(170ページより)

読んで満足するのではなく、自ら行動してその変化を実感することこそが重要だと著者は主張しています。本書を通じてキャリアナレッジを吸収し、実際に動きながら、自分らしく生きるためのよりよい道筋を模索するべきだということなのでしょう。

Source: ディスカヴァー・トゥエンティワン

メディアジーン lifehacker
2022年6月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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