『「戦争が町にやってくる」』ロマナ・ロマニーシン、アンドリー・レシヴ作(ブロンズ新社)

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戦争が町にやってくる

『戦争が町にやってくる』

著者
ロマナ・ロマニーシン [著]/アンドリー・レシヴ [著]/金原瑞人 [訳]
出版社
ブロンズ新社
ジャンル
芸術・生活/絵画・彫刻
ISBN
9784893097095
発売日
2022/06/03
価格
1,760円(税込)

書籍情報:openBD

『「戦争が町にやってくる」』ロマナ・ロマニーシン、アンドリー・レシヴ作(ブロンズ新社)

[レビュアー] 堀川惠子(ノンフィクション作家)

 赤いヒナゲシが静かに反戦をうったえるウクライナの絵本。著者は1984年生まれの二人組。2014年、当時のウクライナ大統領をロシア亡命に追い込んだウクライナ騒乱、続くロシアのクリミア侵攻を経て生まれた本だが、物語は国家の今を予言するかのよう。

 光や自由を象徴する、愛らしい登場人物たちがのどかに暮らす町に、ある日突然、真っ黒な戦争がやってくる。心も体も無防備な子どもたちにとって、大人が始める戦争は常に突然だ。町を破壊する黒い雲や戦車は「光」を締めだし、花たちから歌を奪う。それでも小さな市民は知恵をしぼり町から戦争を追い払う。

 平和は戻っても、心の傷は消えない。失われた命もかえらない。悲しみはいつの世も繰り返される。町に咲き誇る真っ赤なヒナゲシは、第一次世界大戦の犠牲者を悼む花。二人の絵本作家は今、避難生活の中から世界に発信を続けている。金原瑞人訳。

読売新聞
2022年6月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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