『戦国日本の軍事革命 鉄炮が一変させた戦場と統治』藤田達生著
[レビュアー] 産経新聞社
戦国時代の「軍事革命」の影響を概観。鉄炮伝来に始まり、傭兵(ようへい)や兵站(へいたん)といった軍事面の改革から城郭の集約や検地、通貨政策など統治方法の変化まで、統一国家誕生に至る過程を幅広く論じる。
近年の研究として、織田信長が鉄炮の数だけでなく、イエズス会を通じて鉄炮玉や火薬の原料を海外から大量に確保したことが紹介されるなど、面白く読める。
歴史学者である著者によれば、かつて全盛だったマルクス主義歴史学は社会経済的側面を重視する傾向にあった。敗戦経験がもたらした忌避感もあり、軍事史が重要分野となったのは比較的近年のことだという。(中公新書・924円)