「琉球OKINAWA」小松健一著(本の泉社)

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琉球 OKINAWA

『琉球 OKINAWA』

著者
小松健一 [著]
出版社
本の泉社
ジャンル
芸術・生活/写真・工芸
ISBN
9784780718485
発売日
2022/05/11
価格
7,000円(税込)

書籍情報:openBD

「琉球OKINAWA」小松健一著(本の泉社)

[レビュアー] 堀川惠子(ノンフィクション作家)

 神々の宿る自然、祈りを捧(ささ)げる人々、豊(ほう)饒(じょう)な芸能。一族が集う祭には、この世とあの世が同居する。ヤマトの写真家は沖縄の地を踏み、一冊の作品を結実させるのに40年の歳月をかけた。

 前半は琉球の海や山、市場など日々の暮らしが極彩色で活写され、独自の文化に彩られた島の佇(たたず)まいに魅せられる。一転、後半はモノクロームの世界に。米軍基地前のデモ、戦闘車両の轍(わだち)が刻まれる干潟、怒りと悲しみを無言でのみ込む人々の眼(まな)差(ざ)し。基地問題に翻弄(ほんろう)され続ける島の姿は、観光地としても消費される美しき「琉球」とパラレルワールド。まばゆい光と深い影の織りなす世界は言葉よりも雄弁だ。

 ことし沖縄返還、本土復帰から50年。何がどこまで返還され、何が復帰したのか。そんな根源的な問いを、深い皺(しわ)の刻みこまれた島人(しまんちゅ)の相貌(そうぼう)は投げかけてくる。終戦の日まであと二月(ふたつき)。沖縄慰霊の日、ヒロシマ・ナガサキそして各地の空襲と、77年前に思いを馳(は)せる夏が巡ってくる。

読売新聞
2022年6月24日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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