『海を越えたジャパン・ティー』ロバート・ヘリヤー著(原書房)

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海を越えたジャパン・ティー

『海を越えたジャパン・ティー』

著者
ロバート・ヘリヤー [著]/村山 美雪 [訳]
出版社
原書房
ジャンル
文学/外国文学、その他
ISBN
9784562071487
発売日
2022/03/09
価格
2,750円(税込)

書籍情報:openBD

『海を越えたジャパン・ティー』ロバート・ヘリヤー著(原書房)

[レビュアー] 牧野邦昭(経済学者・慶応大教授)

 幕末から明治にかけて茶は日本の主要輸出品の一つだったが、では日本の茶は海外でどのように消費されていたのだろうか。茶商人を先祖に持つ歴史学者の著者が詳細な調査によってそれを明らかにしたのが本書である。

 日本から輸出された緑茶の最大の消費国はアメリカだった。アメリカではコーヒーと共に茶も多く飲まれており、しかも紅茶よりも緑茶が好まれていた。日本茶は良い品質のイメージで中国茶を圧倒するが、緑茶は牛乳と砂糖を入れて飲まれていた。日本は博覧会で「正しい」緑茶の飲み方を広めようとするが成功せず、その後は英領インドなどで大規模に生産される紅茶の業者による宣伝攻勢で紅茶が優位になる。それでもアメリカ中西部では太平洋戦争まで日本産の緑茶が多く飲まれていたという。

 本書を読んだ後、硬水のミネラルウォーターで入れた緑茶に砂糖と牛乳を加えて飲んだところ、新鮮な味だった。品質を維持しつつ国内の常識に捉われない販売戦略を進めていくことが、現代日本の農産物の消費拡大と海外展開にも必要なのだろう。村山美雪訳。

読売新聞
2022年7月1日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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