ショッピングモールとチェーン店が覆いつくし、生活空間が均質化されたかのように見える現代日本。だが、各地方を歩けばそれぞれ特徴的な風土と人間の関わり方が存在する。そして、土地の歴史や風景を作品の不可欠な要素とした小説も数多い。
著者は読み巧者の文芸批評家。中上健次『枯木灘』といった歴史的作品から、昨年の直木賞候補作として話題になった一穂ミチ『スモールワールズ』などの直近作まで、47都道府県を舞台にした主に平成から令和の小説180編を選び、土地の固有性に着目して読みを展開する珍しいブックガイドだ。(西日本新聞社・1980円)
-
2022年7月3日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです