観葉植物にメリットが!仕事場に「緑」を取り入れると脳が活性化するって本当?

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仕事力が劇的に上がる「脳の習慣」

『仕事力が劇的に上がる「脳の習慣」』

著者
澤口俊之 [著]
出版社
ぱる出版
ジャンル
社会科学/経営
ISBN
9784827213379
発売日
2022/06/27
価格
1,540円(税込)

書籍情報:openBD

観葉植物にメリットが!仕事場に「緑」を取り入れると脳が活性化するって本当?

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

仕事やビジネスパーソンに必要な能力はひとつしかなく、その能力を伸ばすことが重要。伸ばし方や向上法も簡単なのに、日本ではなぜかそのことが常識化していないように思えるーー。

そう主張しているのは、『仕事力が劇的に上がる「脳の習慣」』(澤口俊之 著、ぱる出版)の著者。神経科学、認知神経科学、社会心理学、進化生態学を専門分野とする理学博士です。

ビジネス・仕事とは社会的生産活動ないしリソース獲得活動のことで、現生人類は進化的に長らく狩猟採集というリソース獲得活動をしてきたので、ビジネスパーソンは「代表的な現生人類」と言ってもいいですから、「ビジネス系」は「人類系(人生系)」でもあります。

人類の幸福に寄与しようとするのが科学者の本質的側面なので、ビジネス系は科学者の本質に即しています。(「はじめにーー脳科学的には一つの能力を伸ばせばいい」より)

しかも日本では博物学的傾向が強いため、科学的体系性のある言説・本は貴重。とはいえ科学性や体系性をまじめに追求しすぎると、長くて難しい内容になってしまう可能性も。

また著者は脳科学者なので、「ビジネス・仕事に必要な能力」を軸にしながらも、その能力の向上法を多めに列挙しつつ、なるべく平易かつ短く書こうとしたのだそうです。

きょうは第3章「もっと手軽に知能・前頭前野の機能を向上させる方法」のなかから、「香りを利用する:癒しと知能向上」に注目してみたいと思います。

脳は生まれながらに緑を求め発達する

著者はここで、「バイオフィリア仮説(biophilia hypothesis)」という説を引き合いに出しています。これは「人間は自然との結びつきを生まれながらに求める性質を持つ」という進化生物学的な仮説で、1980年代に提唱されたのだといいます。

自然環境には緑環境がつきものですから、「人間は生まれながらに緑環境を求める」という解釈も成り立つよう。そして、緑環境によるさまざまな効果を「緑効果」というのだそうです。

現代テクノロジー社会で働くことによって疲弊した脳が緑環境で修正・回復される、という効果ですね。そして、こうした効果が生じる本質的な理由は、現生人類(の脳)と緑環境との進化的結びつきです。(139ページより)

この進化的結びつきは相当に根強く、現生人類に至る霊長類進化に限っても6000万年以上の歴史があるのだとか。たとえば進化的に根強い有酸素運動(歩く・走る)が脳に非常によいことは有名な話。しかも緑環境との結びつきはもっと長いので、脳に悪いわけがないというのです。

ちなみに緑効果でわかりやすいのは、子どもでの効果。乳幼児が自発的に二足歩行をし、次いで二足走行をするのは、歩く・走るが進化的な営みだから。また同様に、子どもたちは自発的に緑環境を求め、緑環境によって脳が発達することは充分に予測できるのだそうです。事実、そのことは多数の研究で実証されているようです。

例えば、緑環境で過ごす時間が長い子どもほど知能(一般知能を含むHQ)が高いことが分かっています。このことは就学前の幼児でも見られることで、また、他の多くの要因(自由時間や母親と過ごす程度など)とは無関係なことです。(140ページより)

なお、自然環境と正反対にあるというべきIT環境(スマホやタブレットなどの電子機器使用)に至っては、そこでいくら知育的なことをしたとしても知能・脳機能は向上するどころかむしろ低下するそう。電子機器の使いすぎで前頭前野にダメージが生じるという証拠さえあるというのですから気になるところです。(138ページより)

緑効果は成人でも:前頭前野の発達と認知機能向上

成人になると(ビジネスパーソンはとくに)都会で仕事をし、緑環境から縁遠くなる傾向があります。しかしそれでも、無意識のうちに緑環境を求める性質はあるもの。たとえば部屋に観葉植物を置いたり、公園など緑の環境で歩いたり走ったりすることがそれにあたるわけです。緑環境を探索しながら軽く歩くだけでも、認知機能は向上することに。

コンクリートが多い都市内と緑豊富な公園内で歩くことの比較でも、都市内で短期間歩いても認知機能は向上するどころかかえって低下する傾向があります。一方、緑のある公園内では短時間歩くだけで不安感や焦燥感が軽減しつつ前頭前野の日機能が向上します。また、あえて歩かなくても、身近な緑環境(庭など)で過ごすだけで記憶力を一時的にも20%も向上させることができます。(144ページより)

子どもの場合、窓から緑が見えるだけで学業成績が向上するのだといいます。同じように成人でも効果があり、窓がない部屋、窓はあっても緑が見えない部屋、そして窓から緑が見える部屋で認知機能テストをすると、窓から緑が見える部屋では前頭前野の認知機能(注意力など)が向上してストレスが減るという結果が出たのだそうです。

窓から緑が見えるだけで抑うつや不安が軽減され、精神健康にいい、というデータもあるので(そして、ストレスや抑うつ、不安は前頭前野系の認知機能低下と結びついていますから)、緑を見るだけで前頭前野によい影響を与えるという、まさに手軽な緑効果もあるんです。(144〜145ページより)

事実、著者が長期試験(数週間〜数か月)を行ったところ、緑豊かなオフィスでは生産性が15%も向上することが実証されたのだそうです。

この生産性向上には職場で緑が豊富だと協調性や集中力が高まることが相当に寄与しているようです。実際、豊富な緑によって職場満足度や集中力が大幅に高くなったと社員たちは自己報告していました。(146ページより)

さらに緑環境には「緑の景観」の他に、「植物によって空気が浄化される」という効果も。そう考えても、緑環境の重要性は決して無視できないものだということがわかるのではないでしょうか?(142ページより)

本書の根底には「好奇心」が流れているのだと著者は述べています。知能やその向上法のベースは好奇心であり、好奇心があれば前向きな気持ちになれるということ。もちろんそれは、ビジネスパーソンにも当てはまるものであるはず。だからこそ好奇心を発揮しながら本書を活用し、仕事力を高めたいところです。

Source: ぱる出版

メディアジーン lifehacker
2022年7月5日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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