知の巨人・外山滋比古から学ぶ、シンプルだけれど大切な「自由自在に生きるコツ」

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やわらかく、考える。

『やわらかく、考える。』

著者
外山 滋比古 [著]
出版社
PHP研究所
ジャンル
哲学・宗教・心理学/哲学
ISBN
9784569902098
発売日
2022/06/29
価格
748円(税込)

書籍情報:openBD

知の巨人・外山滋比古から学ぶ、シンプルだけれど大切な「自由自在に生きるコツ」

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

やわらかく、考える。』(外山滋比古 著、PHP文庫)は、以前ご紹介した箴言集『こうやって、考える。』の姉妹本。知の巨人として知られる著者が執筆してきた膨大な著作のなかから、「柔軟な視点を養うためのヒント」を厳選したものです。

勝負にかぎらず、なんとしても成功したい、しなくてはいけないと思ってことに立ち向かうと、やっかいなことがおこる。

正面の目標とは別に、心のどこかに姿なき敵をかかえこむことが多いのである。ひとはそれをプレッシャーといったりする。

本人は気づかないことが多いが、これを退散させないと、うまくいくことも失敗してしまう。

頭を使うときにも、このおそろしい、目に見えない敵をつくらないようにしたいものだが、もしできてしまったら、どうするか。

急に頭をよくすることはできなくても、頭にうまくはたらいてもらうコンディションづくりならできない話ではない。(「はじめに」より)

2020年7月30日に96歳で逝去された著者のことばは、知的好奇心に満ちており、親しみやすく、そして簡潔なものばかり。だからこそ、多くの人の心に届きやすいのではないかと思います。

きょうは、そんな本書の第七章「自由自在に生きるコツ」から、いくつかをピックアップしてみたいと思います。

人生は長い目で見る

スタートがうまく切れなかったことで悲観することはない。人生はマラソンみたいなもの。いくらスタートがよくても、本当の力がなければ、たちまち遅れる。『傷のあるリンゴ』(162ページより)

そして折り返し地点あたりにたどり着いたとき、ようやく実力がものをいうようになるもの。したがって、スタートでレースを占うのは間違っているのだと著者は主張しています。(162ページより)

失敗こそ幸運の女神

試験に落ちて進路変更を余儀なくされたような人が、悪戦苦闘、傷だらけになって走る人生マラソンのゴールはおどろくほど見事である。

失敗は幸運の女神の化身であると考える人がすくないのは不思議である。傷のあった方がうまいのはリンゴにかぎらない。『傷のあるリンゴ』(163ページより)

むしろ私たちが恐れるべきなのは、不幸や失敗が足りないことだと著者。傷ついてうまくなったリンゴの教訓こそが貴重だということです。(163ページより)

ゆっくり急ぐ

仕事、仕事といって、ぶっつづけに仕事ばかりをするのではない。そうかといって、だらだら、遊んでいるのは、もっといけない。

両者をうまくかみ合わせる。リズムが生じる。それがいい生き方になる。『老いの整理学』(164ページより)

そして重要なポイントは、“ゆっくり”を弱、“急ぐ”を強とすると、ゆっくり急げば弱強のリズムになるということ。(164ページより)

苦しい経験が判断力を育む

判断力は、苦難や危険などのマイナスの経験を積むことで鍛えられます。生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされれば、誰でも必死で次にはどうすべきかを考えるでしょう。『考えるとはどういうことか』(165ページより)

逆に、安心・安全な環境で生活をしていれば、判断に頭を使わないことになるわけです。(165ページより)

自慢したい気持ちはためておく

ゴシップのようなものを言い広めるのは、はしたないことだと、たいていの人が承知している。

ところが、自分の手柄話はあまりにも語って楽しいから、つい甘くなって、相手構わず、吹聴して、思わぬ顔をしている。『傷のあるリンゴ』(169ページより)

しかし「自慢したい」と思うエネルギーを密閉してしまえば、おのずから精神力は充実するもの。そこから、新しいことに立ち向かう活力が生まれるということです。そういう心のメカニズムに目を向けると、世の中が少し変わって見えるのだといいます。(169ページより)

知識に経験というタネを加える

創造的な思考とは、無から有を生み出すものではなく、新しいものを考え出すには、何らかのタネが必要です。『考えるとはどういうことか』(172ページより)

もちろん知識もタネにはなるものの、それは多くの人が共有しているものでもあるため、独創的なアイデアにはなり得ません。そこに自分ならではの経験というタネを加えることで、オリジナルな化合物としての思考が生まれるのです。(172ページより)

自分のスタイルをつくる

没個性的な制服を脱いで、めいめい自分の好みの着物を着たいものである。

不用意に着ているものを脱げば風邪をひくかもしれないが、それがこわくてはいつまでも出来合いの借物をやめることはできない。『日本語の感覚』(173ページより)

思い切って一度、裸の思想に立ち還るべき。そしてそれがいかに貧しいものであるかを直視したうえで、体に合ったスタイルというドレスをつくっていくほかにはないのだという考え方です。(173ページより)

『こうやって、考える。』と同じく、シンプルにわかりやすくまとめられた一冊。どこからでも読むことができる構成でもあるので、すぐ手に届くところに置いておけば、なにかと役に立ってくれそうです。

Source: PHP文庫

メディアジーン lifehacker
2022年7月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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