仏文学者にして古書コレクターとしても名高い著者が、ANAの機内誌に連載していたエッセー「稀書探訪」。12年に及ぶ全144回が一冊になった。
大改造前のパリを示す都市景観図集や、ロマン主義時代のイラストレーターによる挿絵本、絵入り風刺新聞、最新モードのファッションアルバム…。カテゴリーごとに章立てされ、美しいグラフィックを通して19世紀パリの政治や社会、景観、人々の暮らしぶりなどが浮かび上がってくる。
何より、著者の尋常ならざる古書愛と、その収集にまつわる悲喜こもごもをつづった文章に引き込まれる。(平凡社・4400円)
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2022年7月17日 掲載
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