『仏像えほん ぼくとぞうの有頂天たび』
- 著者
- 店橋 花里 [著、イラスト]/肥田 路美 [監修]
- 出版社
- YAMAVICO HAUS
- ジャンル
- 芸術・生活/絵画・彫刻
- ISBN
- 9784991050626
- 発売日
- 2022/04/08
- 価格
- 2,200円(税込)
書籍情報:openBD
絵本の皮をかぶっためちゃくちゃ濃い仏像解説本
[レビュアー] 夢眠ねむ(書店店主/元でんぱ組.incメンバー)
仏像が好きだ。大前提でありがたい存在としてみているが、いとうせいこう氏とみうらじゅん氏の「見仏記」シリーズや、モデルのはなさんの『ちいさいぶつぞう おおきいぶつぞう』を愛読書としていたので若干ミーハー目線強めの“好き”である。特に好きなのは平等院の雲中供養菩薩で、彼らに会うために京阪宇治線に何度も乗った。仏像を見て、なぜだかツーッと涙を流したこともある。そんな私のお気に入り仏像本は昔のものばかりだったけれど、素敵な新刊を見つけた。
『仏像えほん』は絵本の皮をかぶった、とっつきやすいがかなりコアな仏像入門書である。まず見返しに「仏像の持ちもの」として24個ものイラストと解説がついていて、いきなりの情報量! めくっていくと優しいイラストで綴られる、はじめて仏像を見た“ふうちゃん”と小さな白い象によるほんわかしたストーリーが展開されるのだけれど……物語の合間合間に挟まれる、めちゃくちゃ濃い仏像解説が面白すぎる。仏像について語りたくて伝えたくてしょうがない!という溢れる思いが、ぎっしり詰まった文字と描き込まれたイラストから伝わってくる(ストーリーと解説のページで文字のサイズが全然違う!笑)。それもそのはず、著者は仏像の楽しみ方を広げるべく活動している「仏像部」の副部長、店橋花里さん。
私のお気に入りは、突如縦見開きになる「にょらいのカラダ」解説ページ。身長約4・8メートル、歯が40本もある、体毛は青色、毛穴からいい匂いがする、性器は悟りを開いたあと体の中にしまわれた(!)など……し、知らないことが盛りだくさん! 菩薩のページでは如来になるための修行の話が出ており、「ウソを つかないことや すなおに あやまることも、しゅぎょうの ひとつなのよ」の教えが。身に沁みます……。子供はもちろん、大人も隅々まで読みたい。